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前編 真っ直ぐな想い/5
その日の俺は、何故か一日中イライラしていた。別におかしなことは何ひとつ言ってない。むしろ未来ある若者にとって良いことをしたつもりだ。
あれは姉貴の子だし、そもそも男だ。惚れた腫れたなどあって良い相手じゃない。さっさと現実を突き付け、別の方向へと目を向けさせてやるのが周りの大人の役目だろう。
…なのに、何だこの罪悪感は?
訳もなくムシャクシャする。だったら俺は、いったいどうすれば良かったというんだ!
- ゴンッ -
思わず、軽くデスクに当たってしまった。
「元気だな、井端」
「ま、真島課長っ!?」
「何だ、ストレスでも溜まってんじゃないか?どうだ、週末だし。仕事終わりにみんなで飯でも行くか?」
その言葉に盛り上がったのは、俺よりもギャラリーの方で。結局、その日は仕事上がりに皆でで夕食に行くことになった。
丁度良かったかもしれない。気分転換にもなるし…。
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