支配人の奔走とみんなの協力のおかげで、俺の計画が実行できるとわかると、その日のうちにルカのアパートを訪ねた。夜の七時だし、家にいるのかはわからなかったけど、ルカは電話を引いていなかったから他に連絡手段がなかったのだ。 　遠慮がちに呼び鈴を一度だけ押すと、しばらくしてドアの向こうから返事があった。 「どなたですか」 「俺。司だけど……」 　どうしようか逡巡している気配がドアを隔てていても伝わってきたから、俺は急いで用件を告げた。 「開けなくていいんだ。ただ、このまま聞いてくれ。明日の夜十一時に、オリオン座に来てほしい。詳しいことは言えないけど、どうしても観てもらいたいものがあるんだ。みんなからのプレゼントと、俺の罪滅ぼしなんだ。勝手で悪いけど、待ってるから」 　一気に伝えると、踵を返す。その直後にドアが開いた。 「行くよ」 　それだけ言うと、ルカは再びドアの向こうに消えていった。