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第二章・17
「優希。手を、握ってもいい?」
いいよ、と答えると、そっと静かに要人の手のひらが優希の手に触れた。
要人の手はいつのまにか大きく、指も太くなっており、その表面を覆う皮も硬くしっかりとした男のそれになっていた。
「今夜は、これでもう寝よう」
「うん」
プラネタリウムは投影したまま、要人は眼を閉じた。
優希の手のぬくもりを感じながら、静かに眼を閉じた。
焦るのはよそう。
ゆっくり時間をかけて、優希と自然に結ばれることを待とう。
あぁ、子どもの頃もこうやって、手をつないだまま眠ったことがあったっけ。
優希もきっと、同じことを考えているに違いない。
「優希……、もう寝た?」
「うん」
「寝てないじゃないか」
くすくすと笑いながら、そんな事を互いに繰り返しながらいつの間にか眠りに落ちた。
星座は巡り、星々の瞬きは二人に安らかな夢を与えた。
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