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第三章・9
『初めてのキスをするときのタイミング』
ウェブサイトを開き、優希はいろいろと検索していた。
『……付き合って間もない恋人どうしが部屋で二人きりになって何も意識しないわけがないですから、もしそういう雰囲気や展開にならないのなら、それまでの話なんかぶった切って黙って抱きつくだけでOKです。
十数秒ほど黙って抱きついた後に相手の顔を見つめれば、間違いなくキスする雰囲気へ持って行けます……』
そんな馬鹿な、と優希は頭を抱えた。
部屋で二人きりになったことなら、これまで何度もあった。
だけど、そんな雰囲気になったことなんて、一度もなかったじゃないか!
「いや、もしかして……」
要人はその時、今ならキスできる! と思っていたのかもしれない。
ただ、僕が鈍感で気付かなかっただけで。
「もっと僕の方から近付かないといけないな」
でも、どうやって!?
いきなり会話をやめて、いきなり要人に抱きついて、いきなり彼の顔を見つめる。
「無理だ……」
考えただけで、顔から火が出そうだ。
いきなり、ではなく。
もっと自然に近付く方法はないのか!?
しばらくいろいろなサイトをうろうろしていた優希だったが、ようやく一条の光明が射した。
「これなら、できるかもしれない!」
思い立ったが吉日。
すでに日は暮れていたが、頭と心がかんかんと熱くなっている今を逃さず、優希は要人へ電話をかけた。
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