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第四章・3
「要人、実は……」
いいんだ、と要人は明るく微笑んだ。
「来年は、優希からもプレゼントがもらえると嬉しいな」
あとは、優希が黙って下を向いてしまったので、要人はその話はそれまでで切り上げた。
プレゼントを準備していなかった事を、気まずく思っているに違いない優希。
そんな彼を、つつきまわすような事は控えた。
しかし、今日の昼食は一緒に食べようと優希に誘われた要人は、軽く驚いた。
午前中のスケジュールは、二人大きく異なっている。
優希は屋内で、現代社会のディスカッション。
要人は屋外で、体育のマラソン。
終了のタイミングは異なるだろうし、その上要人は着替えたりと時間を食うのだ。
きっと、かなり待たせてしまうだろう。
そして、一緒にいられる時間も短い。
それでもいいから、と優希は約束をして別れていった。
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