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第四章・6

 慎重に包み紙を剥がしていく優希の真剣な顔を見ながら、要人は幸福感を味わっていた。 (自己満足かもしれないけど、やっぱり贈ってよかった)  プレゼントを開く時の優希の顔。  中を見て目を輝かせる優希の顔。  そして、手に取りだして満面の笑みをこぼす優希の顔。  どれも、初めて見る顔だった。  すごい、素敵だ、ありがとう。  そんな言葉の数々が、とても嬉しく心に沁みる。 「気に入ってくれて、よかった」 「大切にするよ」  その後すぐに、優希が何か言おうと口を開きかけたが、突然隣の6人掛けの席に踊り込んできた女子学生の集団に、あっという間に阻まれた。  女子たちは、少女特有の甲高い大声と少しワルぶった汚い言葉遣いで、今日のバレンタインデーの話に花を咲かせている。  誰に渡した、何を選んだ、いくらかかった、だのと騒がしい事この上ない。 「行こうか」 「うん」  要人と優希は、まるで追い出されるかのような気持ちでカフェを退散した。

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