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第五章・4

 A6ヨコサイズ・タテ105㎜×ヨコ154㎜の3枚複写2色刷50組の領収証。  木台タイプの18㎜×63㎜ヨコ型住所印。  これらを使って一枚一枚に、延々と押印していったのだ。  アドレスも店名も電話番号も、すっかり覚えてしまった。  ただ、その店名にだけは興味を持った。 『猫cafe もふもふ亭』  猫カフェ、成るものは要人も知っている。  可愛らしいネコたちが店内に放されており、客はその姿を愛でつつお茶を飲んだりするのだ。  確か優希も、この時間は俺と同じような耐久授業を受けたはず。  放課後はいつものカフェではなく、この猫カフェに行ってみようかな、と頭に浮かんだ。  こんなに神経の疲れる作業を、長時間続けたのだ。  もふもふのネコに癒されるのもいいかも……、などと考えていると、ようやく退室許可のアナウンスが流れた。  別室でのエデュケーションでは思った通り、溜息を洩らしそうになった点を指導教官に指摘された。  要人は神妙な顔をして素直に返事をしていたが、頭の中ではすでにもっふもふのネコたちに囲まれてにこにこと笑っていた。  そしてその隣には、嬉しそうにネコを抱き上げた幸せな優希の姿を想像していた。

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