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第五章・7
「あぁ! そういうトコ、好きなんだ。優希の、そういうトコロが~」
「デレるな! 恥ずかしい奴だな!」
こうやって、キスには慣れ始めてきた優希だ。
だがしかし。
(Bまで持っていくには、どうすればいいんだろ……)
まだまだ道のりは長いな、とニヤけて下がった要人の眉は、そのまま困り顔に変わってしまう。
そしてそれには気づかない、優希だった。
そんなこんなで二人じゃれ合いながら、ようやくお目当ての『猫cafe もふもふ亭』に到着した。
だが、その建屋に驚いた。
「木造一戸建て!?」
すぐそばに高級住宅地のある、新しく開けてきた商業スペースには不釣り合いな店構えだ。
そしてそのデザインは、レトロどころか生きた化石のような建築様式だ。
「これを見られただけでも、来た甲斐があったな」
「設計は古いけど、痛んではいないよ。よく手入れされてる」
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