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第五章・9

 驚かされたが悪者には見えないその風貌に、要人と優希は、ほっとした。 「えっと。店長さんですか? ちょっと休ませて欲しいんですけど」 「どうぞどうぞ。アタシは店長さんじゃなくって、留守番さんですけどね。お客さんは大歓迎ですよ」  店内は外見とは違い、打って変わってオシャレな雰囲気だ。  シンプルで無駄のない、モダンなソファやテーブルがいくつか据えられている。  そのひとつに、要人と優希は落ち着いた。  ほっと一息ついて周囲を見渡すと、なるほど猫カフェを謳うだけあって多くの猫が店内にいた。  うろつき、眠り、伸びをしたり。 オモチャに夢中になっていたり、キャットタワーに登っていたり。  しかしそれらの猫を見ていると、二人にある種の疑問が湧いてきた。 「この猫たちなんだけど……、何かこう、やけに普通っぽくない?」 「あ、君もそう思った? 猫カフェのネコなら、もうちょっと何というか、その」  留守番を名乗る老婆に悪いので、要人と優希は小さな声で囁き合った。  猫カフェを訪れるのは今日が初めてだが、噂や評判でなんとなく知識は持っている二人だ。  こういう店に飼われている猫は、やけに模様が整っていたり、毛が長かったり。  ビロードのような毛並みだったり、すらりと体型が引き締まっていたりと、どことなく高級なイメージがあるものだ。

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