67 / 105
第五章・9
驚かされたが悪者には見えないその風貌に、要人と優希は、ほっとした。
「えっと。店長さんですか? ちょっと休ませて欲しいんですけど」
「どうぞどうぞ。アタシは店長さんじゃなくって、留守番さんですけどね。お客さんは大歓迎ですよ」
店内は外見とは違い、打って変わってオシャレな雰囲気だ。
シンプルで無駄のない、モダンなソファやテーブルがいくつか据えられている。
そのひとつに、要人と優希は落ち着いた。
ほっと一息ついて周囲を見渡すと、なるほど猫カフェを謳うだけあって多くの猫が店内にいた。
うろつき、眠り、伸びをしたり。
オモチャに夢中になっていたり、キャットタワーに登っていたり。
しかしそれらの猫を見ていると、二人にある種の疑問が湧いてきた。
「この猫たちなんだけど……、何かこう、やけに普通っぽくない?」
「あ、君もそう思った? 猫カフェのネコなら、もうちょっと何というか、その」
留守番を名乗る老婆に悪いので、要人と優希は小さな声で囁き合った。
猫カフェを訪れるのは今日が初めてだが、噂や評判でなんとなく知識は持っている二人だ。
こういう店に飼われている猫は、やけに模様が整っていたり、毛が長かったり。
ビロードのような毛並みだったり、すらりと体型が引き締まっていたりと、どことなく高級なイメージがあるものだ。
ともだちにシェアしよう!