78 / 105
第五章・20
「どうぞ」
「……噛むぞ」
「嬉しいよ、優希」
優希もまた要人の首筋を愛撫することで、一方的に受け身にまわる恐怖心から解放されていた。
組み敷かれ、ひたすら攻められ、自我を失うまで追いつめられる……そんなセックスへの脅えが薄らいでいた。
「優希、もう少し下まで噛んでみて」
「これくらいか?」
「あ。気持ち、いぃな」
ソファに腰掛け、互いの首筋を噛み合った。始めは、交代で。
そのうちに、夢中で相手を求め合うようになった。
(俺をアルコールに強い体に産んでくださった母上に、感謝!)
以前パッチテストをしたことがあったが、要人はALDH2活性型だった。要するに、酒に強い体質だ。
だからこそ飲みすぎには注意するように、と医師に釘を刺されたが。
ワイン三杯飲んでも、すでに酔いが醒めている要人。
かたや、ワイン一杯で酩酊し、すっかりエロチックに蕩けている優希。
「あ、ダメ、だぁ……。要人、そ、んな……ッ」
うわごとを口にしながら、それでも必死に腕を伸ばして空を掻き、要人を愛撫しようと頑張っている。
ともだちにシェアしよう!