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第六章・9

「今度は、僕が要人の気持ちを尊重してやる番、なのかもしれない」  優希は、小指をじっと見つめながら考え込んでいた。  キス、できるようになったし。  身体の触り合いっこも、もう慣れた。  じゃあ、大丈夫なんじゃないか? 「僕、要人と」  ああ、考えるだけで顔から火が出そう。  それと。 「やっぱり、ちょっと怖いよ。要人……」  うつむき加減で、優希は夕暮れの道を歩いた。  でも。  僕は、要人のことが好きだ。  告白された時は驚いたし、それからしばらくの間は友達感覚が抜けなかった。 「今は、違う」  ちゃんと要人のことを恋人として、愛してる。  好きな人とセックスするのは、自然なことじゃないのかな。  そう考えると、気が軽くなった。 「怖いんじゃなくって、緊張してるんだ。僕は」  そう考えると、心が楽になった。  行こう、要人の家へ。  決めてしまうと、優希の足取りは軽くなった。

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