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第六章・10

 いよいよ、週末。  要人は優希と共に、実家の屋敷へ帰った。  両親は公私ともに多忙なので、留守にすることが多い。  この日も、二人揃って家にはいなかった。 「夕食は、こちら~」  前回と違って、優希はすぐに要人の部屋に通された。  ディナーも、シェフが作った豪華メニューではなく、カレーライスだ。 「俺が作ったんだ。美味しいかなぁ?」 「へえ、要人が?」  シェフに教えてもらいながら作ったという要人のカレーは、素直に美味しかった。  ほどよい辛さの中に、複雑なスパイスの風味が溶け合って、一味違う旨味を作り出している。 「おいしい!」 「よかった!」  カレーライスを食べ、マンゴーラッシーを飲む。  楽しくおしゃべりした後、要人は入浴を勧めてくれた。

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