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第六章・17
「嘘だろ。こんなに、早く……」
「ちょ、要人。今、動かないでぇえ……」
付き合ったガールフレンドとは、まるで違う優希の魅力に、要人は早々に達したことを恥じた。
「物足りないなら、まだヤるけど?」
「も、大丈夫。満足したから!」
優希の返事に、要人はゆっくりペニスを抜いた。
横を向いて震えている優希の肩をそっと抱いて、要人は声をかけた。
「大丈夫だった? ちゃんと、感じてくれた?」
「うん。多分あれが……、気持ち悦い、ってことなんだな」
よかった、と要人は胸をなでおろした。
「体、少し汚れちゃったな。拭いてやるよ」
「平気だよ。自分で……」
そこまで言って、優希は起きようとした。
だがその瞬間、かくんと体勢を崩してしまった。
「ほら、無理しないで。ゆっくりしてて」
「ごめん。ありがとう」
要人に体を拭いてもらいながら、優希はひたひたと胸を浸す想いに身を委ねた。
(要人。大好きだよ)
セックスは、恋人というパズルの一つのピースなのかもしれない。
今夜、僕はそのピースを手に入れたんだ。
二人で体の拭き合いっこをした後は、ちゃんとパジャマを着て二人でベッドに寝た。
以前のように、手を繋いで。
以前のように、天井にプラネタリウムを投影して。
星めぐりをしながら、満たされた心地で眠りが訪れるのを待った。
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