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エピローグ・4
「絶対、似合うから! 絶対!」
「そこまで言うなら。ありがとう」
にっこり笑うと、優希はもう一度ショップに戻った。
「ん? まだ買うの?」
「少し、待ってて」
店員に訳を話し、優希は試着室へ入った。
そして、次に出てきた時には、要人の贈ったセーターを着ていた。
「優希、やっぱり似合う!」
「ありがとう。ちょっぴり恥ずかしいけど」
プレゼントをすぐに身につけてくれるなんて、贈りがいがあるというものだ。
要人は弾んだ心地で、優希の手を握った。
「要人、人前でそんな……」
「いいだろ? 見せびらかしたいんだよ、優希を」
この素敵な人は、俺の恋人です、って。
「……仕方ないなぁ」
二人で手をつないだまま、ショッピングモールを歩く。
それだけで、ウキウキしてくる。
「僕の手、いつも冷たいだろ? ごめん」
「それを温めるのが、俺は好きなんだ」
カフェに入る頃には、優希の手は要人の体温と同じになっていた。
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