7 / 42

まじめな酔っ払い

「……伊勢ちゃん?」 「んー……」 「まわってきた?」 「んー……ねむい……」 「おいここで寝んなよ。寝るなら布団入れ」 「ん……がんばります……」 「寝たら即やらしいことするからな」 「わー……こまる……」 「……って言ってるそばから寝そうじゃん」 「……ん……」 「待ってて、水持ってくるわ」 「ほら飲んでこれ」 「んー……」 「……もうほとんど目開いてないよ」 「ん……」 「布団入れって、風邪引くぞ」 「んん……寝ない……」 「無理すんな」 「……寝たらやらしいことされちゃうし……」 「……冗談だから。なんもしないから布団いけって」 「んー……」 もぞもぞ 「あー……」 「……」 「はぁ……」 「……どうしたんですか」 「あれ……、伊勢ちゃん起きた?」 「なんか布団入ったら覚醒してきたパターンのやつ」 「ふーん……」 「で、どうしたんですか高岡さん」 「いや……自分の欲望と戦ってる」 「……やりたいんすか?」 「え、いや……」 「そこ当てたまま言っても説得力ないですよ」 「……俺こんな意志弱かったかなーと思って」 「はじめから弱いですよ高岡さんは」 「はっきり言うな」 「特にシモ方面のことに関して、意志ブレブレじゃないですか。やるぞっつったり勝手にがまんしたり」 「いやそんなことない……そんなことないぞ……一年も片思いして我慢してたんだから。ほんっとよく頑張ってたよ俺、自分で言っちゃうけど」 「なんすか」 「伊勢ちゃんが何も考えずにうち来て酒飲んで、さっきみたいに寝そうになってるときとかよく手ぇ出さなかったと思うよ」 「ふーん。で、今はやるんですか? やらないんですか?」 「おまっ……せっかく人が無駄話引きのばして意識逸らそうとしてたのになんでそういうこと言うんだよ」 「だからなんでそんなことしてるんですか、やらないの?」 「酔って記憶飛びそうなお前にそんなことしたらだめだなって思えるくらいの理性はあんの今」 「やろう?」 「……うん」

ともだちにシェアしよう!