「うあー……バイトいっきたくねー……」 「がんばってくださいよ」 「風邪引いたことにして休もっかな……」 「平然となんてこというんですか、授業だったらまだ自分が困るだけですけどバイトは仕事なんですからね！」 「分かってるけどー……レポートとテストとバイトとってがんばれないよー……」 「なんでシフト入れちゃったんですか」 「休みもらってたのに無理やり入れられた……」 「そんだけ頼られてるってことじゃないですか、ほらがんばって行ってきてください」 「無理ー……」 「だだこねない」 「……じゃあちゅーして」 「は？」 「行ってらっしゃいのちゅーしてよ、そしたらがんばれるから」 ちゅ 「はい、いってらっしゃい」 「……」 「これでいいですか」 「……なんで……っ」 「え？」 「なんでそんなさらっとやっちゃうんだよー……！」 「はー？　やったらやったでぐちぐち言うんじゃないすか」 「違う、伊勢ちゃん絶対『そんなのやですー！』とか言うと思ってた……そんで『お願い一回だけ！』とか言っていちゃいちゃしたかった」 「いや知らねーよ」 「えー……じゃあもっかいしてって言ったらしてくれる？」 ちゅ 「はい、早く行ってください時間ないですよ」 「なんでめずらしくこんなにしてくれるの」 「高岡さんにバイトがんばってほしいからですよ、ビール買って待ってますから帰ってきたら飲みましょう」 「伊勢ちゃんがやさしい……」 「めずらしいみたいに言うな」 「あー余計行きたくねぇよー……」 「結局行きたくないんじゃないすか！」