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心読みやさん

「あれ、煙草変えた?」 「あーはい、さっき買いに行ったらいつものなくて。メンソールにしました」 「煙草買いに行ってたんだ。なら……」 「あ、高岡さんの分ついでに買ってきました」 「……!」 「俺のも買ってきてー、って言われると思って」 「すごいな伊勢ちゃん……さすがよく出来た奥さんだなあ……」 「……奥さんってのは聞かなかったことにしますね」 「俺のことなんでも分かってるなあ」 「高岡さん考えてることダダもれなんですよ」 「えっ伊勢ちゃん俺が考えてること分かるの?」 「いや違いますけど、もしそうだったら楽しいなあっていう」 「えーもし分かるのにまだ俺と付き合ってくれてるんだったらすごい懐広いよ」 「え?」 「俺が普段考えてること分かってて許容してくれるなんてすごい」 「えっ高岡さん普段何考えてるんですか?」 「言えない言えない、嫌われちゃうもん」 「……俺に嫌われるようなこと考えてるんですか?」 「考えてるだけだよ、実際にできるとは思ってないから」 「……エロイことですか?」 「えっなんで分かるの」 「うわ当たっちゃったよ……」 「本当にバレちゃってんのかなやべぇな」 「いや違いますけど……どんなことなんですか」 「いや言えないって」 「気になるじゃないですか……」 「口にしたら本当にしたくなっちゃうからダメ」 「うわーなんなんだよ、超気になる」 「させてくれるんだったら言う」 「……やっぱいいです」 「えっそんな簡単に引き下がっていいの!?」 「いいですいいです、気になるけど聞いたら終わりな気がする」 「気になるだろ? 聞いてみなよ」 「いやいいですいいです」 「なんで! 聞けよ! 教えてやるから!」 「言いたいのか言いたくないのかどっちなんですか」 「言いたくはないけど、したい!」 「……絶対聞かない。」

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