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伊勢ちゃんの料理
「伊勢ちゃんただいま~」
「おかえんなさい」
「あー今日もバイト疲れたー……くっそーあの店長まじでムカつく……」
「今日ってまかない食べてきました?」
「え、ああうん、一応」
「じゃあお腹すいてないですよね」
「いや、そんなことないよ。なんかあんの?」
「……味噌汁作ったんですけど」
「まじで、伊勢ちゃんが? めずらし!」
「……なめこ好きですか?」
「大好き。最高。」
「……はい、どうぞ」
「うわー、うれしー。いただきます!」
「……味の保証しませんけどね」
「…………」
「…………」
「…………」
「……ど、どうですか?」
「ダシは?」
「え?」
「ダシ。」
「ダシ……?」
「いれた?」
「ダシは、えーっと」
「……入ってないよね?」
「……味噌汁ってお湯に味噌とかせばいいんじゃないんですか……?」
「大体の味噌汁はダシ入ってると思う」
「…………まじすか」
「ん、でも美味しいけどね」
「……なんか、俺だめだな……失格だな……」
「嫁失格ってこと? 気にすんなよ」
「つーか、ハタチの人間として情けないんですよ自分のこと……」
「大丈夫だって、これも美味しいよ」
「いやいや無理しなくていいですから……」
「無理してないって。それに味噌汁くらいいつでも俺が作ってやるよ」
「なんですかそれ、プロポーズですか?」
「そうだよ。一生俺の味噌汁飲めよ」
「…………」
「勃起した?」
「なんでだよバカ」
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