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第37話

そっと、優しく。 春樹を布団の上に寝かし、浴衣を脱がした。 現れた肢体は少し朱に染まり、興奮のせいか既に胸の突起が()ち上がっている。 間近で凝視(ぎょうし)しても体毛は殆ど生えておらず、……やはり下半身も幼く、無垢な少年を彷彿させた。 彼は恥ずかしそうに瞼を伏せ、視姦(しかん)とも言える行為に耐えている。 その表情がまた、(そそ)られる。 (ヤバい……すっごい興奮する……) ともすれば性急な動きになりそうなのを、蓮人は何とか堪えた。 絶対に春樹を怖がらせない。 性行為は気持ちの良いことと印象付ける。 そう心掛けていたから。 しかし思い描いていたよりもずっと、激しい衝動に突き動かされそうになって。 それ程彼の身体は清くも妖艶(ようえん)で、悔しいが雄河の言い分も分からないではなかった。 (でもだからこそ、俺が守らなきゃ駄目なんだ。大切に、大切にする) 蓮人はガラス細工を扱うかの如く、春樹のしっとりと濡れた胸元に、ゆっくりと唇を落とした。 「ひゃっ」 と愛らしい声が聞こえ、思わず吹き出してしまう。 春樹はむぅ、と頬を膨らませて、 「んだよ、笑うなよー」 「すみません、あまりに可愛いから」 「……お前なぁ、可愛い可愛いって、俺の方が年上なんだからな」 「はいはい」 「はいはい、ってもう、あぅっ!」 言葉の応酬は、春樹の嬌声(きょうせい)によって途切れた。 蓮人がその淡いピンク色の突起を、口内に含んだのだ。 コロコロと飴玉を転がす感覚で、丁寧に、かつ執拗に舐め回す。 「あっ、あぁっ、うっ」 春樹の声が次第に色濃くなっていき、蓮人は悦に入った。 純度100%の彼に、快楽を覚えさせている。 そう考えたら、ゾクッと電流のような刺激が全身を駆け巡る。 (俺、変態なのかも……) 春樹に対して、だけだが。 他の誰が相手でも、こんなに高揚することはない。 勉強と称してAV等も観賞したが、どの女優にも俳優にも劣情(れつじょう)を抱くことはなく、自慰(じい)の対象にすらならなかった。 (俺はずっと、春樹さんだけなんだな) 春樹の(つたな)い喘ぎに恍惚としつつ、ひたすら舌を動かし続ける。 すると彼はぐい、とこちらの頭を手を追いやり、 「ちょ、待て待て!」 「ん?どうかしました?」 「い、いや、その、あのっ……下半身が……おかしくて……っ」 言われて目線を遣ったら。 春樹の性器は少し勃起をしており、ふるふると震えていた。 性に関して疎い割に、身体は相当敏感らしい。 それがまた堪らなく、蓮人自身も熱が増していく。 不意に、ずっと気にしていたことを訊いてみた。 「春樹さん……オナニーしたことありますか?」 「お、オナ!?何訊いてんだよっ」 「大切なことです。さ、答えて」 「~!……そりゃ、少しはあるけど……あんま……ねぇよ……」 「後ろに指は?入れた?」 「はぁ!?んなもんねぇに決まってんだろ!前をちょっといじるだけだって……もぅ……」 (……本当に、『綺麗』なんだ) 蓮人は想像以上に初な春樹が愛おしくて、愛おしくて。 胸の突起を口内に含んだまま、彼の性器を激しく(しご)いた。 「!?や、やらっ!な、何すんだよぅっ」 「同時に刺激を与えたら、凄く気持ちいいですよ。一度出してしまった方が楽ですし」 「そ、そんなっ、うぅっ、ひっ、ひぁっ!」 春樹は今まで経験し得なかった感覚に、狼狽(ろうばい)しているようだった。 身体をビクビクと仰け反らせ、半開きになった口元からは(よだれ)が垂れている。 純潔な彼が今、新たな世界を知ろうとしている。 何て淫靡(いんび)な光景だろう。 蓮人は興奮のあまり動作が止まらず、先端を指先で弄り、絶頂を煽った。 「あっ、だめっ、出ちゃっ、出ちゃうっ、あああぁーっ!!!」 春樹は痙攣(けいれん)を起こしながら、白濁(はくだく)した液体を勢い良く吐き出して。 暫し呼吸が乱れ、呆然としていた。

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