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第42話~side 春樹~

「あっ!あぁっ!んっ」 肌と肌がぶつかり合う、卑猥(ひわい)な音が鼓膜(こまく)を揺さぶる。 未だに慣れない音だ。 自分の淫らさを、思い知らされているようで。 「春樹さん……可愛い、綺麗……好き、大好き……」 蓮人がうわ言の如く、耳元で繰り返す。 いつでも冷静沈着(れいせいちんちゃく)で、精悍(せいかん)な男として知られる彼が、自分の前だけでは乱れている。 その事実に春樹は優越感(ゆうえつかん)を覚え、更に昂ってしまう。 「お、俺も、好き、蓮人のこと、大好きっ!だからっ中に出してっ……!赤ちゃん、ほしぃっ……!」 「!……もうっ!相変わらず、可愛いことばっか言って……!」 「あぁん」 単に本音を伝えただけなのに、蓮人はいつもちょっと怒った、でも何処か嬉しそうな表情で、動きを加速させる。 中に居るソレは存在感を増し、突き破るのではないかと危惧(きぐ)する程、激しく奥を突きまくる。 初めはひたすら痛かっただけの秘部は、すっかり快楽を植え付けられ、性器を触らなくても収縮し出した。 「はっ、蓮人っ、いくっ、いくっ……!」 「俺もっ……もうっ……」 「中に出して、いっぱい、出してっ、あ、あぁー!!!」 ビクンビクンと。 激しい痙攣と共に、春樹は白濁した液を吐き出して、果てた。 中に熱い液体が注ぎ込まれるのを、じんわりと感じながら。 蓮人は息を荒くしつつも、直ぐにこちらの身体を労り、全身を柔らかいタオルで拭ってくれる。 誰よりも優しい、最高の夫だ。 だから。 「今度こそ……出来たらいいな、赤ちゃん……」 ボソッと。 独白(どくはく)のように呟くと、蓮人は穏やかに笑みを浮かべ、 「大丈夫です。絶対出来ますよ」 春樹と蓮人が入籍して、早二年。 二人の間には、未だ新しい命は芽生えていなかった。

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