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第55話
戻って来た莉那に礼を言い、何かに追われているかの如く、二人で急いで自宅へと帰った後。
「セックスしましょう。子供とか気にせずに。ただただ貴方を愛したい」
蓮人にそう言われ始まったセックスは、だがさすが『お仕置き』だけあって、なかなか過酷 だった。
とは言え痛みなどは一切なく、ひたすら快楽を追求するものだったが。
彼は何度も何度も何度も(強調)、春樹の性器や秘部を扱き、いじり、絶頂へと誘って。
終わりが来ないのではないか、と危惧する程だった。
初めは白濁していた液が、次第に透明に近くなり、恥辱で頭の中が真っ白になる。
「は……はぁ……れ、蓮人……も……きつ……い……」
「『お仕置き』ですからね。……でもちょっとやり過ぎました、すみません」
「あ、謝るくらいならやんなっ!……ま、まぁ、気持ちいいから、いいけどよ……」
そう。
セックスでこんなに高揚したのは、実は久しぶりで。
最近は愛を確認する為ではなく、子作りの為にしていたのだと、思い知らされた。
(きっと蓮人も辛かったよな……)
彼はどんな時でも励ましてくれ、慈愛に溢れた眼差しで見守ってくれていたが。
内心はあらゆる葛藤 があったと思う。
なのに自身を悲劇のヒロインに仕立て上げ、それを蔑ろにしていた。
ゆっくりと、その少し痩けた頬に手を伸ばし、
「……本当にごめんな。色々心配かけて」
「俺の方こそごめんなさい。春樹さんがそこまで追い詰められてるって、気付かなかった……これからは毎日、もっと、もーっと愛情を伝えますね」
「ははっ。ばーか」
時折見せる幼い、年相応の顔が愛らしい。
思わず含み笑いをすると、蓮人は突然双璧 を指で押し開き、秘部をマジマジ見て、
「うん、すっかり俺の形になりましたね」
……前言撤回。
そう満足げに呟く蓮人の表情は、イケメンでしか許されないものだった。
玲美も彼の変態性を知れば、諦めるかもしれない。
しかし春樹としては、自分にしか見せない一面なので、優越感を覚える。
「そりゃそうだろ。お前しか入れてねーんだから」
「ふふ、嬉しいです。……本当に、いつまでもピンク色で、ヒクヒクしてて、可愛い……毛がなくてツルツルだし」
「んっ!」
こんなとこに可愛いも何もあるか!てか毛が薄いのはむしろコンプレックスなんだぞ!とツッコミたいところだったが、熱のこもった先端を宛がわれ、瞬時に言葉が引っ込んだ。
ドクンドクンドクン。
もう数え切れないくらい、結ばれているというのに。
未だに胸が高鳴る。
蓮人が欲しいと、中が淫らに蠢 いているのが分かる。
(そっか……俺もずっと……)
ただ純粋に、ありのままに。
彼と繋がりたかったんだ。
そう自覚した瞬間。
奥まで一気に突き上げられ、春樹は悲鳴に近い嬌声 を上げた。
「ひぁああぁっ!!!」
すっかり敏感になっていた身体は、突然の刺激に激しく反応し、入れただけで萎えていた性器が復活した。
いや既に軽く絶頂したのか、微かに痙攣が起きている。
その様を見て蓮人は悦に入り、
「可愛いですね、春樹さんは……入れただけでイッちゃった」
「は、はぁ、あっ、あぁ」
「ビクビクしてるの、凄く好きです。もっと、もっと見せて」
「あああっ!!!」
まだ動きが止まらない内に、容赦なく中を掻き回され、思わず目を見開く。
春樹は息も絶え絶えに、
「だ、だめっ、まだイッテる、イッテるからぁっ」
と訴えかけるも、蓮人はあっさり却下した。
「大丈夫ですよ。今度は一緒にいきましょう」
「あっあんっ!あぁぁうっ!!!」
今まで感じたことのない、身体の奥の奥まで繰り返し突かれ、駆け巡る快楽に気が狂いそうだった。
(やべ……気持ち……良すぎるっ……頭が……おかしくなるっ……!!!)
これからどうなってしまうのか。
未知の領域へと達するのか。
不意に恐怖に襲われ、ギュッと蓮人の首に腕を回すと。
彼は全てを汲み取ったらしく、優しく頭を撫でながら、
「俺に任せて。平気だから」
「うっ、……うんっ……!」
狡い。
こういう時、蓮人はため口で諭 してくる。
安堵する落ち着いた、父性すら感じさせる口調で。
春樹はいつもそれに絆 されるのだ。
「そろそろ出すよ。春樹さんの一番奥にっ……!」
「お、おぉっ、はっあっ!あぁあああーーーっ!!!」
「くっ……!」
蓮人の艶っぽい呻きと共に、再び絶頂を迎えた。
尿に似た透明の液体が勢いよく噴射 し、だがそれを疑問に思う余裕は残されていなかった。
体内の果てに放たれた熱い液体を感じ、興奮のあまり痙攣が治まらず、目線が定まらない。
それでも。
全身が愛情に包まれているようで、幸福感に満ちていた。
「春樹さん……愛してる……愛してる……」
「ん……俺……も……」
心地好い子守唄みたく、蓮人の睦言を聞きながら。
春樹は静かに瞼を閉じた。
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