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第71話
ホテルの部屋に着いて、一秒も待たずに蓮人は、背後から春樹を抱き締めた。
少し硬めの艶やかな髪の毛から、昔と変わらぬ太陽の匂いがする。
「れ、蓮人……早くね……?」
春樹は頬を朱に染め、戸惑っているようだ。
だがその瞳の奥は、既にしっとり濡れている。
期待しているのだ、と容易に分かる。
蓮人は安堵させるよう目を細めて、
「すみません。お泊まりは出来ないし、久しぶりですから。一秒足りとも無駄にしたくないんです。早く春樹さんを味わいたい……」
「……俺、も……」
口早に想いを伝えると、春樹は素直にコクンと頷いてくれて、同時にこちらの股間もズクンと疼いた。
せっかくお洒落をしてきたのに、くっきりと性器の形が浮き出ていて、何とも滑稽 である。
けれどそれは、彼への愛情の強さを示している。
「春樹さん……!ずっと……ずっとこうしたかった……」
「んっ……!」
蓮人は性急にベッドに押し倒し、唇を奪った。
豊潤 な柔らかいそれは、一瞬で恍惚 の世界へと誘う。
春樹もまた貪るように食らい付いてきて、欲情しているのが明白だった。
(可愛い……可愛い……今は俺だけの春樹さんだ……)
蓮人はだが何とか平静を取り戻し、春樹の身体に負担を掛けぬよう努めた。
出来るだけ優しく服を脱がせて、露になった胸の飾りをそっと啄 む。
久しぶりに刺激を受けたそれは、あっという間に硬くなった。
「んぅっ……!」
春樹の嬌声 が、心地よく鼓膜を揺さぶる。
蓮人は内心ほくそ笑んだ。
(ごめんな、芽。ママのおっぱい、楽しませてもらうよ)
なんて冗談めかしつつ、更に舌先で突起を舐め回し、吸い付くし、『丹念』に、ーいや『執念 』と言っていい程に、愛撫を施 した。
「うっ、んんっ、んぅっ……!」
と二人きりの空間にも関わらず、声を我慢しようとするその様に、蓮人はますます煽られて。
こんな可憐な母親、いや人間が他に存在するだろうか。
もっと時間をかけて愛したいが、残念ながらタイムリミットがある。
「すみません、下触りますね」
蓮人はあくまで紳士的に、緩慢 な動きでことを進めた。
もう長いこと触っていない秘部を、確認するように凝視する。
やはり随分と狭まっている様相だ。
子育てに忙しく、自慰 もしてないに違いない。
「せっかく俺の形になってたのに、戻っちゃいましたね……また頑張らないと」
蓮人としては至って真面目に言ったのだが、春樹は揶揄 されたと思ったのか、
「ばかっ!んな恥ずかしいこと言うなって!!」
全く痛くない、ヘロヘロパンチを見舞ってくる。
既に全身が蕩 け、力が入らないのかもしれない。
蓮人はふふ、と含み笑いをし、
「本当に可愛い。もっと可愛い姿、見せて下さい」
と。
人差し指にジェルを塗り、秘部に少しずつ入れていった。
想像どおり肉壁が行く手を阻むが、躊躇う程ではない。
「あっ、ああっ!!」
春樹の喘 ぎ声が室内に反響し、更に彼の性器が一気に反り上がる。
指だけでこんなに反応するなんて。
相変わらず感度が素晴らしい。
本当に、いつまでも処女みたいだ。
(早く入れたい……ガンガン突きまくりたい……!!)
衝動に駆られるも、理性を総動員させて止 まった。
春樹を傷付けたくない、その一心で。
蓮人は徐々に指を増やし、じっくり中を広げていった。
ピンク色のそこはヒクヒクと、『あれ』を待ち望んでるかの如く、収縮 している。
すると。
「れん、と……も……入れて……いっぱい……おく……ついてぇっ……!」
(……いやいや、これはマジ、反則……!!)
蓮人の『あれ』が、限界まで膨張 した。
これで堪えろ、と言うのはさすがに酷であろう。
蓮人は無言で自身にスキンを被せ、秘部にーそれでも、出来るだけ時間をかけてー挿入した。
「あああっ!!!」
キュッと締め付けられ、思わず放出しそうになるが、必死に耐える。
0.1秒で絶頂など、男として情けなさ過ぎる。
しかし彼の中は容赦なく快楽を与えてきて、対抗するようにパンパンと、激しく腰を打ち付けた。
「あっ、ああっ、気持ちいっ、いいよぅ、れんとっ……!」
「俺も……!やっぱり、春樹さん……最高っ……!」
「ううっ、あぁっ、ひっ……!」
気づけば春樹の性器から先走りの液が漏れ、ふるふる震えていて。
蓮人はうっとりと、その光景に見惚れた。
未だに陰毛が薄く、幼い印象のそれが射精する瞬間が、大好きなのである。
(本当に俺って変態だよな)
春樹に対してだけなので、どうか許して頂きたい。
などと物思いに耽っている内に、極限 まで中が狭まり、悦楽に飲み込まれた。
「あっいくっ、いくっ……!!!」
「くぅっ……!!!」
春樹の性器から濃厚な、白濁した液が勢いよく飛散する。
恐らく自身も、たっぷりと吐き出していると思う。
これだ。
ずっとずっと、この感覚を味わいたかった。
愛する人と一つになれる感覚を。
頬を朱に染め、ハァハァと息を荒くしている彼の頭を、何度も何度も撫でながら。
「春樹さん……愛してます……ずっと、ずっと……」
「ん……俺、も……愛してる……っ」
ギュッと。
春樹は力を振り絞って、腕を首に絡めてきて。
蓮人は何だか泣きそうになった。
(俺は、世界一の幸せ者だ……)
静かに幸せを噛みしめ、そっと瞼を閉じた。
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