79 / 83

第78話

それからしかし、やはり芽はいつも通りママっ子のままだった。 気になるのはやたら「ママは僕が守るから!」と、以前にも増して言うようになったこと。 その一生懸命な姿は、とても自分を拒絶しているとは思えない。 だが授業参観の話になると、途端に(かたく)なになるのだ。 (よく分かんねぇな) もっと追及(ついきゅう)したいものの、焦りは禁物である。 下手に探りを入れて、芽を傷付けたくない。 春樹は至って穏やかに、優しく接するよう努めた。 いつか彼から真実を話してくれると信じて。 そんな日常が続く中、自宅で一人家事をしていると、学校から電話が入った。 『高瀬さん、突然すみません。芽くんのことでご相談がありまして……』 以前校内で会った聖からだった。 やけに神妙な気配を察して、春樹は心臓が跳ね上がった。 担任ではないから、接する機会は少なそうだが……。 「は、はい。あの、何でしょう」 『直接お話したいので、今から学校に来て頂けますか?』 「そ、そうですか……分かりました」 電話では話せないとは、余程深刻な状況なのだろう。 通話を切った後も、動悸が止まらなかった。 蓮人は仕事で出ているし、芽はまだ学校なので様子が分からない。 (俺がしっかりしなきゃ!) そう自身を奮い立たせ、必死の思いで家を出た。

ともだちにシェアしよう!