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 最初からクリスマスは純と過ごすつもりだった。  この日の計画が、どこまで純の想定通りで、どこからが想定外だったのか。  お望み通り純と駅のピアノで一緒に遊んだあと大学生が絶対選ばないようなハイクラスなホテルの部屋に連れてこられた。  結斗は急に自分の半分が考えていることが気になる。少なくても、ホテルのカウンターで、ご予約の二名様と言われたので、最初から誰かと泊まる予定だったのは間違いない。 「純さ、こんな広いとこ一人で泊まる気だったのか?」 「二人だよ」  そうだろうねと、そこまでは結斗の予想通りだった。  問題は誰と泊まるかだ。仕事で一緒に来ていたらしい三森とは駅であっさりと別れていたので、相手が三森でないことは確かだった。  ぐるぐる考えていた自分は、すごく情けない顔をしていたと思う。  それをみて、ニコニコと楽しそうに笑うからコートを脱いだ純の黒のセーターの胸元を掴んだ。 「誰と!」 「素直な結斗は好きだな」 「ッ、う……」 「けど、俺だって、まだ怒ってるからね?」 「それは、ごめん……なさい。約束破って、あと、最後まで話聞かないで、ごめん」 「ホントだよ。でも、もういいよ。俺も悪かったから、おあいこ」  そういって頬に口付けてくる。  けれど、純をひっぺがしてベッドの近くにあったソファーを指差した。喧嘩の売り言葉に買い言葉。  シチュエーションは最悪だったけれど、お互いにもう好きだって言ってる。子供みたいにクリスマスケーキを食べてこのままオヤスミするつもりもない。  けれど全部聞くまでは落ち着かない。 「で、ここに誰と泊まる気だったの?」 「そんなに怒らなくても。結斗と泊まるつもりだったよ。言ったじゃん、クリスマス一緒に遊びに行こうって」 「それは、言ってたけど」 「こっちでバイトあったし、三森さんに先にバラされたけど、あのピアノ全部一人で調律して、結斗に聴いてもらいたかったんだよ」 「え、なんで? なら家でいいじゃん」  純の家の地下にあるピアノも純が調律しているなら、外のピアノじゃなくても同じだと思った。本気で分からない顔をしたら、呆れられた。 「結斗のこと、分からず屋って思うの、こういう時だよね」 「悪かったな」  純に手を引かれソファーの隣に座った。 「好きな人に仕事でいいところ見せたかったんです」 「はぁ……」 「バイトだって秘密にしてたのは、出来るようになってから見せて、結斗をびっくりさせたかっただけだし」 「びっくりしたわ」  一人だけ取り残されたみたいに感じて心細かった。すごく焦った。 「うん、けど失敗したなって思った。もっと早く言っておけばよかったね」 「動画の件だって」  感極まって泣きそうになったけど我慢した。 「うん」

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