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第2話
伊福と沓名が恋人になったのは今から2年程前のことだった。
「まぁ、結果的にはアリなのかな?」
伊福が高校2年生だった頃、1人、高校の裏庭へ行く時だった。
というのは、伊福の所属している部活は園芸部で、特に花とか植物に興味がある訳ではなかったのだが、運動系の部活は割とどこも国体を目指しています部やインターハイ常勝部ですけど、何か?みたいなガチめの部活が多かった。運動部でなければ、吹奏楽や軽音等の音楽系の 部活や美術や漫研等の美術系の部活なんかもあったが、どちらもある程度、スキルがない者には敷居が高い。
そんな消去法も良いところで選んだ部活ではあったが、いざ何か植えて、それが芽が出ると、割と嬉しかった。
伊福直樹の密かな楽しみ。それを狂わせたのは突如、聞こえてきた声だった。
「なぁ、頼むよ。ユキちゃん」
声のする方向を見ると、3人の先輩らしき男が立っている。
1人は声を発した男で、もう1人は声を発した男の連れのようだ。そして、あと1人は声を発した方にユキちゃんと呼ばれていた男だ。当時の伊福にはどの字を充てるかは分からないが、雪のように白い肌と長身が目を惹く、綺麗な男だと思った。
「あ……」
伊福はユキちゃんと呼ばれた男を見ていると、2人の男は伊福に気づく。
伊福は内心、ヤバいと思ったが、「自分は園芸部員、部活をしに来ただけ。自分は園芸部員、部活をしに来ただけ」と心の中で、繰り返すと、にっこりとして、その場を去っていこうとした。
だが、去ることはできなかった。
「あ、直樹くん!」
ユキちゃんと呼ばれた男は何故か、伊福の名前を知っていて、ユキちゃんと呼んだ男は何故か、「君はユキちゃんとつきあっているのか」と問いてくる。
伊福としては混乱の極みだが、「はい。そうでふ」、「僕、ユキちゃんとつきあってましゅ」なんて噛みながら言ってしまっていた。
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