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第5話(R18)

「直樹くん? 直樹く……」 伊福は自ら沓名に着せたシャツのボタンをホールから外していく。 いつも柔和というか、優しげな年下の男の表情は真顔に近く、真剣で、沓名の心臓はドクンと音を立てる。 「沓名さん、少し口を開けてください」 沓名は伊福の言葉通り、薄く口を開ける。 すると、伊福の唇が沓名の口元に近づき、伊福の舌が沓名の口内に入ってくる。 「ンっ、んぅ……」 正しいやり方なんて知らないと言わんばかりのキス。 思えば、キスだって軽いものはお互いの誕生日とか伊福の合格が分かった日や入学式の日とかでしてきたが、深いものは初めてだ。 「ハぁ……」 伊福が沓名の口内から舌を引き抜く時に、沓名の唇先に僅かに当たる。 だが、興奮しているのか、伊福は野獣のような表情で沓名を見つめ、気づいていないようだった。 「なお、きくん?」 戸惑いながら沓名が伊福の名前を呼ぶと、伊福は沓名に覆い被さるのをやめて、ベッドの下をごそごそと漁る。布を被せたカゴから出てきたのはローションとコンドームで、伊福はローションをかぱっと開けた。 「後ろ、向いてくれますか? 沓名さん」 本当なら沓名に甘い言葉なり、他の性感帯へ愛撫なりを与えられたら、より良いのだが、人生初めてのセックスで伊福はそこまで気が回らない。 荒めの息遣い以外は無言でローションを指に纏わせると、沓名に断ってから伊福は人差し指を沓名の直腸に押し入れた。 「あっ……!」 沓名は一瞬、違和感を覚え、控えめな声を出すが、すぐに沓名のナカは伊福の指を受け入れていく。 仕掛けたのは伊福ではなく、他ならぬ沓名自身なので、ある程度は用意してきた為だった。 「温かい……」 無意識に出た伊福の言葉に、沓名は少し羞恥心が込み上げる。 伊福は沓名の体内を傷つけないようにゆっくりと指を進めると、無理をせずに時間をかけて、拡げていく。 「指、増やして大丈夫そうですか?」 十分に柔らかくなった沓名な直腸は既に伊福の細めの指なら3本くらい入りそうだったが、1本ずつ中指、薬指と増やしていく。柔らかいとは言え、次第に圧迫感が沓名を襲い、目と腹の奥が熱くなっていくのが分かる。

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