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第11話(R15)

「あッ!!」  カルセドは重い目蓋を押し上げると、ベッドに横たわっていた重い身体をゆっくりと起こした。  小屋は相変わらず草木に覆われ、釜や薬瓶がずらりと並ぶ。すると、小屋の扉を開けて、黄金の弓を持つヴェリルが入ってきた。   「っ……!!」  カルセドはすぐにでも足を動かそうとするが、長い時間、拘束されていた足や様々なものを受け入れ、まだぽっかりと開いているようなアナルは力が入らず、すぐに言うことを聞いてくれない。ならば、と首を逸らして、ヴェリルを拒否する。  だが、ヴェリルにはカルセドの拒否などたわいなかった。 「うッ!!」   ヴェリルは黄金の弓をベッドの縁に置くと、カルセドの顎を捕らえて、自分の方へ向かせる。  ベリルトの姿の彼も男前で、あまり見つめていると、ぽぉっとなりそうだったが、ヴェリルの姿は長い緑の髪に、金色の目が美しくて、見続けることができない。  その上、ベッドに押し倒され、唇を乱暴に奪われると、心臓が苦しい程、音を立てた。 「ンっ、んっ、ぁハっ、んーーー」  ヴェリルのキスから逃れる為に、カルセドは肩を震えながらも唇を動かすが、すぐにヴェリルの唇に食まれて、吸われるように重ねられる。  昔、シラーと遊びのようにした無邪気なキスとは違い、なんて熱く、なんて残酷なキスだろう。 「ゃ……です……もう、っ……」 「……人間の姿の方が良いなら戻るぞ」  ヴェリルは口づけに震えるカルセドに溜息をつくと、ベリルト・レリプットの姿にいとも簡単に戻る。いや、ヴェリルにとってはベリルトの方が仮の姿だ。  なのに、人間の姿を成して、カルセドに接してくれるのはカルセドの為なのだろうか。  その一方ではおそろしく美しい姿で、おそろしい賭けを持ちかけて、おそろしい快楽でカルセドを弄んだというのに。

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