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第7話

「ああ....僕はなんてことを....」 ガロは頭を抱え、床の一点を見つめたまま、プルプル震えている。 「どうした?」 「僕が逃亡の理由をちゃんとうさぎの神様に話していたら、彼は、彼は...死なずに済んだ....」 後悔に打ちひしがれるガロをまろんは見るに見兼ねた。 「お前の証言だけじゃ、キティとやらは上手くはぐらかして終わったんじゃないか?まあ....ガロが逃亡しなかった行く末がキティの新しい番、てところか」 えっ、とガロがまろんを見る。 まろんは涼しい顔で水を飲んでいた。 「....僕のせいじゃ、ない....?」 「ああ、そいつもガロのように逃亡する勇気があれば良かっただろうにな....同じうさぎとしても、無念だし、後味は悪いが....」 『左様でございます』 「うわ!びっくりした!」 天井からの声にガロとまろんは思わず顔を上げた。 うさぎの天使の姿は見えない。 「どっから見てんすか、天使のうさぎさん。覗き見っすか」 まろんがしかめっ面で天井を見上げる。 『覗き見なんて失礼な。お二人は私の管轄内なので。たまたま、暇だったので見ていただけですよ、天界から』 「そ、そうなんですか」 『ああ、ガロさん。この手のケースは実は珍しくないんです。あまり公にされないだけで。ご自分を責めなくって大丈夫ですよ』 「そうなんですね...ありがとうございます」 ガロは天井に向い、頭を下げた。 『正直、相性の悪い二匹がゲージに入れられ、苦情が耐えなかったり。話しを聞くのも私の役目です』 「....大変なんっすね、天使のうさぎさんも」 『ええ、まあ。でも私の管轄はわりと平穏な方なので』 「....管轄、て、他にも人間になっているうさぎさんがいる、て事ですか?」 『ええ、おりますよ。個人的に感動したのは飼い主が好きすぎて、人間になり、告白したい、と名乗り出た、雌ですね...』 「まぢっすか!で、どうなったんすか!?」 『無事、飼い主さんと交際を始め、今、お腹には飼い主さんとの赤ちゃんがおります。私も楽しみで楽しみで。ふふふ』 「人間とうさぎのハーフ....」 『左様です。あ!またあの人は!ちょっと仲介に入りますので、この辺で、ではまた』 「はい、また、天使さん」 「お疲れっす」 二人は姿は見えない天使のうさぎを見送った。

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