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許可、もらいました
別に掃除なんてしなくていいと云う先輩を、昨日泊めてもらったお礼だと押し切った。
洗濯してゴミをまとめ、シャツにはすべてアイロンをかける。
押し入れの中からキノコの生えたパンツは出てこなかったが、服と本が無造作に積んであった。
邪魔だとベッドの上に追いやった先輩は、またうまか棒を囓りながら本を読んでいる。
「先輩。
いつもなに食ってるんですか」
「……うまか棒」
視線は本に向いたまま、ページをめくる先輩の手は止まらない。
「それ以外は?」
「……コーラ」
……はぁーっ、洗濯物を畳みながら落ちた、僕の深いため息に先輩は気づかない。
掃除したら、コンビニ弁当はおろか、カップラーメンの空すら出てこなかった。
うまか棒ばかり食ってて、よく身体を壊さないなと思う。
いや、いまはいいが将来が心配。
「先輩。
僕、ときどきメシ作りに来ていいですか」
「……ん?」
「だからメシ、作りに来ていいですか。
あと掃除」
「……ん」
はい、了解はいただいたということで。
先輩が本に集中してて返事がおろそかになってるのをいいことに、こんな話をする僕も僕だけど。
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