4 / 6
半同棲とみんなの反応
最初は困った顔しながら僕が掃除したり料理したりするのを見てた先輩だけど、そのうち合い鍵を渡してくれた。
好きにしたらいいって。
勝手に拡大解釈し、頻繁に泊まっても先輩はなにも云わない。
次第に増えていく僕の物にも気づいてるんだか気づいてないのか。
「先輩、寝癖」
見つけた寝癖にミストをかけ、軽くドライヤーで直す。
「はい、完了です。
ネクタイ締めますから、少し顎あげて」
今日のスーツに合い、なおかつ先輩の顔に生えるネクタイを選んで結ぶ。
先輩はこうやってお世話をされることに抵抗がない……というより全く頓着してないらしい。
好きな本さえ読めればどうでもいい、そんな感じ。
そういうとこもまた、僕を思いっきり射抜いてくる。
終われば、一緒に出勤。
僕が寝癖を直したあたまで、僕がアイロンをかけたシャツを着て、僕が選んだ、僕の締めたネクタイで仕事をしている先輩を見るが好きだ。
でも反面。
「熊田さん。
今日みんなで食事に行かないかって云ってるんですが、どうですか」
「あー、俺は……いい」
「そうですか」
残念そうに去っていく女子社員にざまあみろと思いながら、むっとした。
このところちょこちょことこういう奴を見かけるのだ。
確かに、先輩は見た目を整えればかっこいい。
けど、見た目がよくなっただけで急にちょっかいだしてくるのはどうなの?
ともだちにシェアしよう!