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ぼくらのなつやすみ(2)

僕が目を覚ましたとき、船はもう島に着いていて、皆もう降りる仕度をしていた。 「郁、大丈夫?もう降りるけど」 「あ…うん」 茂樹が僕の荷物を持ってくれた。 寝起きのボーっと感はあるが、気持ち悪いのは治まっていた。 「大丈夫。自分で持てるよ、ありがとう」 そして僕らの団体様は、陸へ上がり、これから4日間を過ごすホテルへ向かった。 豪華絢爛、とはいえないものの、海岸の岩場を背に建つ白いしっかりしたホテルだった。 部屋に案内されて、その部屋の窓からは、海が一面に見渡せた。 「うっわあー きっれーい!」 海の色は、塗りつぶしたように真っ青だった。 「やっぱ千葉とは違うなー」 「早く行こうぜっ」 長い船旅の疲れなどなんのその(若さだな) 僕らは、早速着替えて、海岸に向かった。 砂浜の砂も、千葉とは違っていた。 白い砂の一粒一粒が、白い小さな石で、とても綺麗だった。 その砂の白さが。真っ青な海へと続いていて…その美しさといったら! 人出もそれほどではなかった。 こーれはのんびりできそうだ。 「この辺でいいか」 了さんが言った。 みんなで手分けして、パラソルを立てたりシートを敷いたりして、とりあえず団体様のねぐらを作り終える。 「行ってくる」 「よーしっ」 わーっと、道明たちは海へ向かって走っていった。 了さんも、後からゆっくり入っていった。 僕は、なんか既にちょっと疲れてしまって、とりあえずシートに寝転がった。 ほんっとに、綺麗だなぁ〜 美しい、白砂と青海の景色を見ながら… 冬樹のことを考えながら… 僕は長いこと、そこでボーッとしていた。 どれくらい時間が経っただろう? ひと泳ぎして、茂樹が戻ってきた。 「郁、泳がないの?」 「あ、うん」 「なんで?」 「今日はいいわ。ちょっと疲れたし。まだまだ明日も明後日もあるし」 「そう…」 それからも、入れ替わり立ち替わり、誰かがねぐらへ戻って来ては一言二言喋っていった。 僕はずっとシートに、座ったり寝転がったりしながら、景色を楽しんでいた。 やがて夕方になり、海に向かって日が沈み始めた。 赤から紫へ、そして青へ… 空のグラデーションがあまりにも綺麗で、 そのとき僕は、この空を冬樹に見せたい、冬樹と一緒に、ここにいたい! と、思った。 もしかしたら どこかで冬樹もこの空を見ているかも…

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