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ぼくらのそれぞれ(3)
「…う…ん…」
気がつくと僕は、広くて綺麗なホテルの一室の、ソファーの上に横になっていた。
ガチャッ
浴室のドアが開き、結城がバスローブ姿で出てきた。
「あれ、起きちゃった?」
「…ここは?」
「私が泊まっている部屋だよ。具合悪くない?大丈夫?」
「…あ、はい」
「だったら君もシャワーでスッキリしてきたら?」
「…はい…そうします…」
ボーっとして、少し頭が痛かった。
僕は浴室に入り、服を脱ぎ捨てて、シャワーを浴びた。
降り注ぐお湯の飛沫を浴びながら…また冬樹のことが頭に浮かんできた。
冬樹は、僕のために、茂樹を海に落としてしまった。
僕のために…僕のせいで…
僕があのとき、鍵を開けなければ…
いやそれより、初めから旅行なんて行かなければ…
いや、もっとずっと前に…僕がもっと早く、冬樹の気持ちに応えていれば…
冬樹が苦しんでるのは、間違いなく僕のせいだ。
例え冬樹が何をしたって、僕には彼を責める資格なんかない。
今さら、冬樹が僕のことを嫌いになったって、なんの不思議もない筈なのに…
でも、僕は冬樹に側にいて欲しい…
でも、僕は冬樹を苦しめてる…?
僕は…どーしたらいい…?
コンコン
「ちょっといい?」
結城がドアを開けた。僕はじっと下を向いていた。
「おいっ…大丈夫か?」
…僕は、やっと気がついて、振り向いた。
「…あ、はい」
「バスローブ、ここへ置いておくから」
「…あ、ありがとうございます…」
僕はすぐにシャワーの栓を閉め、傍らのタオルで軽く身体を拭き、バスローブを着て、浴室を出た。
「ちょっと飲むか?」
結城は、ソファーに腰掛け、グラスを差し出した。
「…はい」
僕は、その隣に座った。
僕の顔を、じっと覗き込んで、結城が言った。
「よっぽど、彼のことが好きなんだね…」
僕は黙って下を向いた。
…と、急に…
結城が、僕の顎をぐいっと掴んで、僕に口付けた。
「…!」
僕はビックリして身をよじったが、彼にしっかりと、腕と肩を掴まれた。
「は…離してくださいっ」
僕は力を振り絞って、その手を振り解き、ソファーから立ち上がろうとした。
結城は後ろから、僕の身体を抱きしめ、ソファーに押し付けた。
そのときになって、僕はようやく現状がだんだん飲み込めてきた…
と、ソファーの横にある、大きな鏡に映る自分の姿が目に入った。
濡れた髪が白い肩まで垂れ…バスローブからはだけた白い胸元と細い足が…まるで女の子のようだった。
「綺麗だよね…自分でもそう思わない?」
後ろから結城がバスローブをずり下ろした。
華奢な右肩が露わになった。
「もったいないな…こんなに綺麗な君が、たったひとりのモノだなんて…」
鏡に映る結城の顔は、まさに『男の顔』だった。
「…い、いやだっ…離して…」
僕は立ち上がって逃れようと試みたが、やはり彼の手に捕まえられ、そのまま床に押し倒された。
結城は、僕の両腕をしっかり押さえ付け、僕を見下ろした。
「彼が他の女としたんだろ? 君も…他の男としないとフェアじゃないと思うけどな…」
「…」
僕はその言葉に驚いた。
そーいう考え方も、ありなのか?
いやでも…でも…僕は…
両腕を押さえ付けたまま、彼は、はだけた僕の胸に顔を近づけてきた。
くちびるを押し当て、ゆっくり動き…やがて乳首を口に含んで、愛撫し始めた。
「…んっ…ああっ…」
なに?この感じ…冬樹と全然違う…
今までにない新鮮な刺激に、僕の身体はすぐに熱くなった。気持ち良すぎて、目を開けていられなかった…
結城の手は、そっと僕の両腕を離れ…肩や首すじを、ぞわぞわと弄りながら、両方の乳首に落ち着いた。
乳首を優しく押し潰すように転がしながら…彼は頭を下ろしていき、僕の股間にたどり着いた。
そして彼は…顔でバスローブをかき分け、僕のモノを露にし、舌で味わうように愛撫を始めた。
「あっ…あああっ…」
2つの乳首の刺激が、僕のモノに絡まる舌の刺激と混ざり合って…僕は今までに味わったことのない、物凄い快感の波に襲われていた。
「あああっ…い、いや…あ…」
凄まじい快感の波の絶頂に…僕は達して…果てた。
大人の男の人って…こんなに凄いんだ…
じっとり汗ばみ、息を荒くする、半裸の僕の姿を…
結城は、興味深げにじっと見下ろしていた。
「…」
少しずつ落ち着いてきた僕を、彼は両手で抱き上げ、隣の寝室に運んだ。そして、僕の耳元に顔を近づけて、囁いた。
「君は綺麗だ。魅力的だよ。君さえその気になれば、それなりの用意が、あるんだけどな…」
「…どういうこと?」
「君の大事な人に悪いから、これ以上は言わない」
結城はそう言うと、僕をベッドの脇の床に下ろして、
自分はベッドに腰掛けた。
「もう、抵抗しないでくれよな…」
そう言って彼は、自分のバスローブをはだけた。
僕の目の前に、大きな彼のモノが露わになり…僕はちょっとたじろいだ。
彼は、僕の頭を両手で優しく持って、自分のモノに押しつけた。
「…んっ…うう…」
僕はもう…抵抗する気力も無く…なすがままに、目の前のモノを口いっぱいに含んだ。
「…うん…なかなか上手だね…」
結城に髪の毛を弄ばれながら…僕は舌を一生懸命に使いながら、愛撫を続けた。
やがて、それが果てると…彼は僕を抱きしめ、ベッドの上に持ち上げた。
そして僕の上に覆い被さり、口付けてきた。
冬樹との濃厚な口付けよりも、もっと…いやらしいというか、エロいというか…
とにかく、それだけで、身体が熱くなってくるような口付けだった。
その上でまた、身体中を弄られ…乳首を吸われた。
「…ああ…あっ…ああっ…」
声が止まらない…
身体に力が入らない…
目を開けていられない…
もう僕の身体は、溶けてとろけて…無くなってしまうんじゃないかと…思うくらい気持ちよかった。
「感度もいいね…これなら相当悦ばれるだろうな…」
そんな訳の分からないことを言いながら、結城は僕の両足を…大きく開いた。
「…あっ…いや…待って…」
「…中の具合も確認しないとな…」
そう言いながら彼は、僕を押し付け、半ば強引に、中に押し込んできた。
「…あ、あう…」
あれほどの前戯のあとに、それが気持ち良くない筈はなかった…
僕の身体は更に熱さを増した。
彼は腰を動かしながら、右手は僕のモノを…左手は僕の乳首を、愛撫した。
それらが全て絡み合って…僕はまた、もの凄い快感の絶頂に達しようとしていた…
「…あっ…あっ…あああっ…」
結城は僕の中で果て、僕も果てた…
「はぁ…はぁ…」
大きな深い絶頂の余韻で…僕の身体はしばらく震えがおさまらなかった。
「…すごいな…俺も虜になりそうだ…」
…ん? 俺って言った…?
素だと『俺』なんだな…
なんて、どーでもいい事を考えながら…
今までにない激しい絡み合いに、すっかり疲れ果てた僕は…すぐに眠りについた。
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