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ぼくのひみつ
「…昨日はホントにごめん…」
次の日の夕方…帰ってきた冬樹は、申し訳なさそうな表情で言った。
「バイト先の人に捕まっちゃって、ちょっと飲んじゃったら…うっかり寝ちゃって、気付いたらもう朝だったんだよ…」
「そう…だったんだ」
あの女ひと…僕があの現場を見たってことは喋らなかったんだな…
「連絡しなくて、ホント悪かった…」
「…ううん…ちょっと心配だったけどね…」
もちろん僕にも後ろめたい気持ちがあったので、あまり冬樹を問い詰めることはしなかった。
ただ、その後冬樹が…力いっぱい僕を抱きしめて、いつになく強引に僕を抱いたとき…
彼の自己嫌悪の念が、なんとなく伝わってきて…それが、少しだけ不安になっていた僕を、安心させた。
僕はといえば…
なんというか…たかが外れてしまった。
冬樹に申し訳ない…という、自己嫌悪よりも、
冬樹を金銭面で少しでも支えたい…という気持ちが先に立ってしまったのだ。
まあ、結城の口車に、まんまと乗せられてしまった感もあるが…
僕が再び結城の元を訪れたのは、それから1週間も経たないうちだった。
ホテルの部屋のソファーに向かい合って座り…結城は事務的な口調で言った。
「…とりあえず昼間の短時間にしておこう。彼より先に余裕持って帰れた方がいいだろ?」
「…はい。」
「面倒なヤツは選ばないようにしておくから…その辺も心配しなくて大丈夫だよ」
「…」
「あ、ちなみに言っとくけど。こないだの金額は期待するなよ。あれは私の個人的な財布だからな」
「…あっはい。もちろんです…」
「じゃあ早速、来週から、ぼちぼち入れさせてもらうね」
「…はい」
僕は少しだけ、震えていた。
結城は立ち上がり、僕の頭を撫でながら言った。
「嫌になったらいつでも辞めていいから…」
「…」
僕はあまり知らなかったが、結城さんの会社は、幅広く色々な事業を手がけているらしい。
その分、取引先やらつき合いやらの数も半端ない。
そんな大口顧客の重鎮の中には、他人には言えない性癖の持ち主も多く、表の取引を円滑に進めるために、それらのニーズを裏で支えることも、結城さんの重要な仕事の一環らしい。
そんなわけで、彼にとって僕は、格好の人材だったようだ。
そうして僕は…まだ見ぬ恐ろしい世界へと…
足を踏み入れることを選んでしまったのだった。
初出勤の日…
僕は、指定された駐車場の…指定された車の助手席に乗り込んで、待っていた。
バタン
時間通りに、その人が運転席に乗り込んできた。
「やあ…はじめまして。よろしく」
「…こんにちは。よろしくお願いします…」
管理職風の、白髪まじりの小綺麗なおじさんだった。
僕は、俯き加減で挨拶をした。
その人は車にエンジンをかけ、アクセルを踏んだ。
車はゆっくり走り出した。駐車場を出て、割とすぐに高速道路に入った。
「今日初めてなんだって?」
「…あ、はい」
「水揚げか。嬉しいねえ…」
「…?」
その人の言ってる意味は分からなかったが、とりあえずその人の口調がとても穏やかだったので、僕は少し安心した。
30分ほど走ったところで、車は高速道路を降り、インターのすぐ側のホテルへ入っていった。
ひとつひとつ壁で仕切られた車庫に車を止め、僕らは車を降りて部屋へ向かった。
そこはいわゆるモーテルで、部屋はそれほど広くなく、ただ、大きなダブルベッドがドーンとあって…
いかにも『さあ、してください』っていわれてるみたいで、ちょっと嫌な感じだった。
その人はドアに鍵をかけ、上着を脱ぐと…すぐに僕をベッドの側へ手招いた。
「…ちょっと震えてる?」
もちろん、僕は緊張していた。
その人は、いきなり僕を抱きしめた。
「…あっ…」
「そんなに怖がらないで…優しくするから」
優しく僕の髪を撫でながら、その人は僕に口付けた。
そしてゆっくりくちびるを離すと、僕を床に座らせ、自分のズボンのファスナーを下ろした。
それがどーいう合図なのか、僕には分かった。
僕は、ファスナーの中から、その人のモノを探り出し、跪いてそれを口に含んだ。
それが硬く大きくなってくると、その人は僕の口から離れ、僕を立たせた。
そしてゆっくり、僕のシャツのボタンを外し、ときどき乳首に触れながら、両側に開いた。
僕はその感触に、ビクビクと震えた。
「…んっ…」
「かわいいね…」
と、その人はいきなり、僕の身体をベッドに押し倒し、貪るように僕の服を脱がせた。
そして息を荒立てながら、僕の乳首にしゃぶりついた。
「あっ…ああっ…」
僕の身体はどんどん熱くなった。
乳首を愛撫しながら、その人は僕のモノを優しく握った。
少しかさついた指の刺激が新鮮で…
僕の身体は更に熱く…
僕のモノもビクビクと昇り詰めていった…
「…ああっ…気持ち…いい…」
僕は、若干大袈裟に喘いだ。
「…挿れていいかい?」
「…あっ…はい…挿れて…ください…」
ああ、冬樹との小芝居経験が、こんなところで役に立つとは…
そしてその人は、僕の腰を持ち上げ、僕の中へ挿れてきた。
腰を激しく動かされ、かさついた指で愛撫されながら…僕はやがてイってしまった。
そのすぐ後に、僕の中でイったその人は、そのまま僕の上に覆い被さり、しばらく、はぁはぁと息を荒だてていた…
僕はふと冷静になった。
知らない男の人が、僕の上に乗ってるって、なに?
そうだ、僕はもう…
後戻りは出来ないのだ…
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