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悪戯再び(1)

その日の夕方… 僕は、結城に渡されていたロッカーの鍵で、彼の経営している商業施設の中にある、同じナンバーのロッカーを開けた。 そこには大きな封筒が入っていた。 中を確認すると… 僕がバイトしている架空の会社名。 架空の仕事内容。架空の時給。 架空の上司の名前。 架空の社内地図や、近所のコンビニの名前。 などなど… なんとまあ用意周到ですこと… そんな風にして、この仕事をしている人が、きっと他にもいるんだろうなーと、しみじみ思った。 そして、別の小さい封筒には、本物の本日分の日給が入っていた。 仲介料を差し引かれての、それでも1万円… いや実は、別れ際にも直で1万円頂いてしまったし、十分過ぎる。(中学生の稼ぐ金額じゃない) それから僕は、週に1度… まず、そのロッカーを開けてに行き、 仕事内容が書かれたメモを受け取り、指定された場所に行って仕・事・をし、 夕方またロッカー経由で日給を受け取る…という生活を始めた。 そんなある日の夜… 「あれ?今日、牛肉じゃん?」 「うん」 「ちょっと贅沢なんじゃないの?」 「へへ…大丈夫。あのね…」 ガタン…と冬樹は椅子から立ち上がった。 「何か、やってんのか?」 怒ったような口調だった。僕は若干たじろいだ。 「…うん、今それ、ちゃんと報告しようと思って…」 僕は架空メモを思い出しながら、話し始めた。 「…週1のバイトを、することに…した」 「なんで!どこで!何やってんだ!」 「普通の出版社。そんな大したことはしてないんだ。コピーとか、原稿取りとかのお使いとか…」 「何てところ?」 「…結城…印刷…」(架空) 「なんで急にそんなことになった?」 「いや実は、そこの社長さんとちょっと知り合って…」 「社長?その社長と、どこで知り合ったんだよ」 「う…うん、ちょっと…」 「ちょっとって?」 冬樹のお怒りモードは、なかなか収まらなかった。 彼は身をのり出し、僕を問い詰めた。 「話すと長くなるんだけど…」 「いーよ。話せよ。時間はたっぷりある」 僕は説明した。 「ちょっと前の話なんだけどね…」 「僕が、その人の車とぶつかりそうになって…あ、でも直前で止まったから全然大丈夫だったんだけどね。一応病院に行ってくれて…」 「そのあと…夕飯ご馳走になって…あ、いやちょうど冬樹がいない日だったから、いいかなって」 「それ、いつの話?」 「…ごめん、あの…冬樹が帰って来なかった日…」 「えっ…あ、そう…」 冬樹はちょっとだけ、収まった。 「で、世間話になって、なんとなくうちの事情を話したら、ちょうど繁忙期で人手が欲しいから、よかったら…って言ってくれて…」 あの日の後ろめたさがあるんだろうか…冬樹はそれ以上は問い詰めてはこなかった。 「…ま、週1ならいっか…実際お金は欲しいし、その社長ってのも悪い人じゃなさそうだし」 「うん」 「まあ、お前も気晴らしになるよな。でも、あんまり無理はするなよ」 「…わかってる。ありがとう」 僕はちょっと心苦しかった。 冬樹に嘘をついてしまった。 …でも冬樹だって、あの日のこと、僕に隠しているわけだし… 「…でもやっぱり、すぐ言って欲しかったな…」 「…ごめん」 「…許さない」 「えっ?」 「許さない」 あ、ヤバい。またお仕置きモード発動か? 「こっち来て」 「…」 冬樹は椅子に座り、僕を目の前に立たせた。 「俺の言うこと聞いて」 「…やっぱり…」 悪いけど、冬樹? 今の僕は割となんでも大丈夫だからね。 『脱いで』でも『脱がせて』でも『口でして』でも、なんでも来い! 「自分でボタン外して」 はいはい。 僕は自分のシャツのボタンを外した。 「下も」 僕はズボンを脱いだ。僕は、はだけたシャツだけの格好になった。 「…自分で、して」 「…へっ?」 「自分でイくまで、して」 「…ええええっ」 自分でって… スイマセン。その発想はありませんでした… (逆に冬樹ってすごい…) 流石に、ちょっともじもじ恥ずかしがっていると… 「しょーがないな…最初は手伝ってやるか…」 そう言って彼は、目の前の僕のシャツを開いて、僕の両方の乳首に触れてきた。 「…あっ…」 ビクビク震える僕の顔をニヤニヤと見上げながら… 胸ら辺を弄ったり、乳首を指で転がしたりした。 「ああっ…ん…」 「自分で握って」 恥ずかしい…と思ったけど、僕はおずおずと、自分のモノを両手で握った。 「見ててあげるから自分でイって…」 またとてもいやらしい口調で、彼は言った。 「ん…んんっ…」 彼に乳首を刺激されながら…僕は自分のモノを、ゆっくり上下に扱いた。 「ああ…んっ…ああ…」 だんだん気持ち良くなって、身体が更にビクビクしてくると…もう恥ずかしいのがどうでもよくなってしまう… 「目、開けて。こっち見て」 「はぁ…あっ…」 「俺にかけて」 そう言って冬樹は、自分の上着を脱ぎ捨てた。 「あっ…あっ…んんんっ…」 そうして僕は…冬樹の胸元目掛けて、イった。 そのあと僕は…命令されるより先に、彼の股間に傅いた。 冬樹のモノを口で愛撫しながら、僕はうっかり思ってしまった。 冬樹ありがとう。 おかげでまた経験値が上がった。

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