39 / 149
ぼくらのすすむさき(1)
僕は、他の大勢の受験生に混ざって、試験会場へ向かった。
受付のチェックのとき、その受付の人が、
やけに僕のことをマジマジと見ていたのが、
少し気になったが…
そして、試験は始まった。
僕はすっかり問題に夢中になっていて、
廊下から教室の中を覗いている人影なんぞには、これっぽっちも気付かなかった。
「間違いありません。郁です」
その人影のうちの1人…
了さんがとても小さい声で、言った。
「そうですか…じゃ、車に戻りますか」
その人影は、静かにその場を離れた。
そして、その学校の門を出てすぐの路肩に止まった覆面パトカーに乗り込んだ。
もう1人の私服の警察官と思われる人物が、無線で言った。
「確認とれました。」
了さんは、静かに呟いた。
「元気そうで、よかった…」
「どうも、お手数をかけました」
「いや、私も、彼の無事な姿を確認できてよかったです…ただ…」
了さんは不安気に続けた。
「やっぱり…倉田くんは、殺人容疑に…なるんですかね…?」
「まあ、なんとも言えません。ただ、争った跡があるのは明らかなので、その辺の真相は、本人から聞かないと分かりませんね」
「…」
「茂樹くんの方も、若干、病んでいた部分もありますからねー。むしろ、恐らくは正当防衛の線が濃いと、私は思っています」
「…どうか、よろしくお願いします…」
「あとは、彼ら次第ですね…。おかげ様で確認が済みましたので、予定通り、明日、出頭要請が出ます」
そして、彼らは車を出した。
試験を無事終え、僕は家に帰った。
珍しく…冬樹の方が、先に帰っていた。
「おかえり…」
「あれっ…もう帰ってたの?」
「試験…おつかれ」
そう言って、冬樹は僕を抱きしめた。
「…うん…冬樹のおかげで…割と出来たと思うよ」
「そっか…」
冬樹は…そのまま黙って…
ずっと僕を抱きしめ続けていた。
「…ごはん、作ろう?」
「…ごはんに…しなきゃダメ?」
なんだろ? どうしたんだろう…
なんか、いつもと様子が違う?
と、冬樹は、
僕を抱きしめていた手を緩め、
僕の顔を両手で押さえて…口付けてきた。
「…んっ…」
ゆっくり…くちびるを離れて、彼は言った。
「今日は…ずっとお前を抱いていたい…」
「…なんで?」
「…だめ?」
「全然、いいけど…」
何となくいつもと違う…
少し悲しそうな表情の冬樹に…
僕は自分から抱きついて、
背伸びして、口付けた。
彼はそのまま、僕を持ち上げ…
敷きっぱなしの布団まで連れて行き…
ドサっと押し倒した。
そして、いつものように冬樹は、
僕の上に覆い被さり…
シャツのボタンを外しながら、
首すじから胸元へと
くちびるを滑らせていった。
「…んっ…ああっ…」
やがて、くちびると右手とで、
僕の両乳首を愛撫され、
僕はやっぱりビクッと震えた。
…と彼は、今度は両手で乳首に触れながら、
僕を見下ろして言った。
「ホントは、どーするのがイチバン気持ちいいの?」
「…えっ?」
「言う通りにするから、言って」
「…ええ…?」
なに? 今日はそーいうお仕置きなの?
なんてちょっと思いながらも…
「冬樹がしてくれるの…全部気持ちいいよ…」
と、答えた。
でもだって…ホントにそうなんだもん…
「指でするのと口でするの、どっちがいい?」
彼は指で乳首を
絶妙に転がしながら訊いてきた。
「…んんっ…あっ…」
「ねえ…どっち?」
僕はビクビクしながら…言った。
「…んっ…指も気持ちいいけど…あっ…」
「…冬樹の舌も…好き…んん…」
「わかった」
そう言って彼は、
改めて僕の乳首に口をつけた。
「あっ…うん…気持ちいい…ああっ…」
優しく吸ったり、舐めたり、
舌先で転がしたり…
いつもより、気持ちいい感じがした。
冬樹も経験値を上げちゃってるんだな…
そして、彼は僕のモノを優しく握りながら、
また訊いた。
「こっちも口の方がいい?」
「…う、うん…」
確認して冬樹は、僕のモノを口に含んだ。
手と口と両方を屈指して、
滑らかに愛撫を続けた。
「…あっ…うん、すごく…気持ちいい…ああっ…」
僕はほどなく…
彼の口の中で、イってしまった。
「俺のも、してくれる?」
「うん…冬樹は? どうするのがいいの?」
「…お前が、俺がイチバン気持ちいいだろう…って思うようにやって」
「…」
僕はちょっとだけ考えて…
いつも(仕事で)やってるときの事を思い出しながら、冬樹のモノに跪いた。
手で、ゆっくり優しく撫でながら…
その、先の方を舌で刺激する…
口の奥まで咥え、抽挿しながら、
ときどきやっぱり、先を舌で刺激する…
そのうちに、彼のモノが、
ビクビクと膨張してくるのが伝わってきた。
「…郁、お前ヤバい…めっちゃ気持ちいい…」
と、冬樹はバッと僕の身体を持ち上げ…
再び押し倒し、両足を広げた。
「…あっ…」
そのまま、膨張した彼のモノが…
僕の中にねじ込まれてきた。
「…んんっ…あっ…」
いったん奥まで入ったところで…
彼は僕をしっかりと抱きしめた。
冬樹のモノが、僕の中で…
ときどきビクンと脈を打ち、
それが僕にはたまらなく気持ちよかった。
その度に、僕は声を上げてしまった。
「あっ……あっ……」
僕の中の冬樹を、全身で感じながら…
僕も力強く彼に抱きついた。
「…このままずっと…お前の中に居れたらいいのにな…」
「…う…ん…」
冬樹がなんでそんな事を言うのか…
そのときの僕には分からなかった…
その日はそのまま…何度も…
何度も、お互いを求め合った。
そして本当にずっと抱きしめ合いながら、僕らは眠った。
ともだちにシェアしよう!