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ここはラコンブラード学院ですか?(4)

その日の夕食の時間… 先に食堂に来ていた雅巳の所へ、僕は謝りに行った。 「今日、ごめんね…雅巳」 「ううん、別にいいけど…でもなんか、先生ちょっと気にしてたみたい」 雅己には悪いけど、僕は二度とテニス部に顔を出すことはないだろうな… 「でもね、実はあの先生…ちょっとそっち系らしいって噂もあったから、やっぱり郁、止めといて正解だったかもしれないなー」 「…そーなの?」 「まあ、あくまで噂…だけどね」 結局その話は、僕らの間では、冗談半分で流されていった。 その晩… 例の会長、藤森は…体育館の脇にある、体育職員準備室に向かっていた。 コンコン 「どうぞー」 ギィー バタン。 カチッ。 鍵をかけられ、密室になった部屋の片隅で、藤森を招き入れ、肩を抱き…口付けを始めたのは… 紛れもない、富永だった。 富永は、慣れた手つきで藤森の身体に指を這わせ…ひと通りの愛撫を済ませてから、自分の足元に、彼を跪かせた。 自分のモノを、藤森の口の中で遊ばせながら…富永は切り出した。 「今日…滝崎郁に会った…」 「えっ?…あの?」 驚いて口を離した藤森の顔を優しく押さえ、元に戻しながら、富永は続けた。 「まさかと思ったけど…本当に、俺の知ってる郁だったよ。中学生のときに、俺が連れ込み損ねたヤツ…」 「…」 「あいつ…ホントにそんなに凄かったのか?」 富永は、藤森の口から自分のモノを取り出すと…今度は彼をそのまま床に押し倒した。 「…凄いっていうか…あっ…んんっ…」 藤森の口で十分にいきり立ったモノを、富永は彼の中に押し込んだ。 「あ…ああっ…」 言葉にならない喘ぎ声がしばらく続いたあと… やがて、2人は落ち着いて…会話を続けた。 「どんな感じだったの?」 「そうですね…ああいうのをプロっていうんですかね…」 「そんなに気持ち良かったってことか」 「うーん…してやられた部分も含めて、なんかこう彼の手の平の上で楽しまさせられた感が、あるんですよね…」 「ふうん…」 「お金さえ払えば…?だと思いますけどね」 そのとき富永は、もちろん考えていた。 何としても郁とやりたい。藤森の言う…その凄さを、身を持って体感したいと。 そして藤森に耳打ちした。 「…こんな手は、どうだ?」 「…」 「乗ってくると、思う?」 「…そうですね…他の人はともかく、あなたからの挑戦なら…」 それから2人は、スタンドの灯りの下で、何かを書き始めた… 次の土曜日… 午前中の授業が終わり、生徒たちは思い思いの週末を楽しむために、胸を躍らせながらそれぞれの部屋へ散って行った。 僕も、雅巳と一緒に、自分たちの部屋に向かった。 「今日、僕、家に帰るから」 「あ、そうなんだ。なんで?」 入学してから、雅巳が外泊するのは初めてだった。 別に禁止されてるわけではなく、相応の理由があって届けさえ出せば、外泊は可能なのだ。 「別に何があるってわけじゃないんだけどね、なんとなく毎年、この時期に1回帰ってるんだ」 「ふうん…」 そんな話をしながら部屋に着くと、急に後ろから肩を叩かれた。 「滝崎…」 「…!」 振り向くと、そこには長田が立っていた。 「…何か用ですか?」 僕は彼の目を、若干睨みつけた。 「…そんな顔しないでくれよ。ただ、これを…」 長田は封筒を差し出した。 「…これをお前に渡してくれって、藤森さんに頼まれたんだ」 僕はその封筒を、黙って受け取った。 「それじゃ。確かに渡したからな」 そう言って彼は、足早に立ち去った。 その封筒は、少し厚みがあった。 もちろん、表にも裏にも、何も書かれてなかったが… 「何?それ」 「さあねー…ラブレターかも…」 僕は自分の椅子に座り、封筒はテーブルの上に投げ、荷物の整理に取り掛かった。 雅己は、すぐに用意してあった大きいカバンを抱えて言った。 「それ、ちょっと気になるけど、また明日の夜にでも教えてね。とりあえず僕もう行かなきゃ…兄貴が迎えに来てる筈だから…」 「うん、気をつけて…楽しんできてー」 「じゃあね」 雅巳は出て行った。 1人の部屋で、僕はゆっくり…テーブルの上の封筒を手に取った。 いったい何だろ…? 厳重に糊付けしてある封のてっぺんをカッターでこじ開けてから、徐に逆さまにして、中身を振り出した。 「…!!…」 中から出てきたのは…数枚の1万円札と、1枚の畳んだ紙だった。 「なんだこれ…」 舞い落ちた1万円札を拾い集め…僕はゆっくり、その紙を広げてみた… 「…!?」 注文…書? 19◯◯年 5月◯日(今日) 午後21時より2時間 体育職員準備室にて 注文主… 「…富永…」 それは、僕への、僕とのナニの注文書だった… ご丁寧に、前金制で… 「なーに考えたんだ、全く…」 僕はそれらを、テーブルの上に放り投げた。 まあ、あの先生の考えそうなことだ… どーするか…行くか? 踏み倒すか? 今更…富永としようがしまいが、正直なところ、どっちでもよかった。 ただ… どうせするなら、それなりに… こんな手の込んだことを仕掛けてきたヤツに、ひと泡吹かせてやりたいところだよなー それなりのお金を頂戴したし… まあ、行って叩き返すって手もありだけど… 「…うーん」 僕はしばらく黙って考えて…そして決めた。 その晩… その約束の時刻に合わせて、僕は体育館に向かった。 僕がちょうど体育館にたどり着き、職員準備室の方へ歩き出した頃…外には雨が降り始めていた。 扉の前で立ち止まり… 僕はじっと下を向き、表情を作り変えた。 コンコン 「…どうぞ」 キィー バタン… よし…今夜のショーの幕開けだ! (…なんちゃって)

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