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爽やかな日々(2)
リビングの、庭に続く大きな窓を開けると、心地よい風が入ってきた。
僕らはパンを食べ終わり、まったりしていた。
「ねえ、あのプールって入っていいんだよね?」
「もちろん、さっき水着も買ったろ」
「じゃあちょっと入ってくる」
僕は、今買ってきた荷物のなから水着を探し出して着替え、その大きな窓から庭へ出た。
誰かがキチンと手入れしてくれてるんだろうな。
芝生も揃っていたし、プールの水も透き通っていて、とてもきれいだった。
僕は静かに水に入った。
気持ちいいー!
結城は、プールを見渡せるソファーに腰を下ろし、持ってきた単行本を広げた。
僕の立てる水音と、鳥のさえずり…
そしてときどき、本をめくる音だけが響く…
とても静かで、心地良い午後だった。
しばらく泳いでから、僕は芝生に上がり…
軽く身体を拭いてから、リビングに戻ってきた。
結城は、単行本を下に落として…
ソファーにもたれたまま、眠ってしまっていた。
ふふっ…
この人にも、こんな可愛いところがあるんだなー
いつもスーツで、隙のない結城の姿しか知らなかった僕には、それがとても新鮮に感じられた。
「ゆ・う・き・さん」
僕はそっと近づき…彼のくちびるに、ちょっとだけ、自分のくちびるをつけた。
「う…ん…」
結城はゆっくり目を開けた。
「…魅力的な格好だな…」
そう言いながら、彼は手を伸ばして、僕の身体に触れてきた。
「…んっ…」
水着しか着ていない僕の、露わになった乳首に、結城の指が触れると…僕はビクッと身体を震わせた。
彼は右手で僕の乳首を弄りながら、左手で僕を抱き寄せると…もう片方の乳首に口づけた。
「んっ…あ…んんっ…」
僕も両手で結城の頭を抱き寄せ、
彼の愛撫に身を任せた。
「あっ…結城…さん…」
結城は右手を静かに滑らせ…ピタッと張り付いた水着の上から、僕のモノを捉えた。
「…ああっ…」
僕の身体は、またビクッとなった。
彼の愛撫に反応して、身体はどんどん熱くなり。
僕はすぐに、欲しくなった。
「…挿れて、結城…さん」
「リップサービスも上手くなったな…」
そう言いながら、結城は僕をソファーに押し倒した。
そして自分のズボンを脱いで…
僕の上に覆い被さってきた。
久しぶりに触れた結城の身体は…
僕をとても和ませ、落ち着かせてくれる…
もしかしたらこの人は…冬樹よりも、僕を優しく包み込んでくれるかも…しれない。
水着しか着ていない僕の…その水着を脱がせ…
結城は僕の中に入ってきた。
「んんっ…あっ…」
僕の中に突き上げられる彼のモノの感触も…
また、僕のモノを包み込むその指も…
そして僕の胸を這う彼の舌の感触も…
今まで学院で抱かれた誰よりも…僕の身体を熱く心地よい快感で満たしてくれた。
「あっ…あああっ…」
辺りに響き渡るくらい大きく喘いで、僕は果てた。
演技なんかでなく、そうせずにはいられなかった。
僕の中で果てた結城は、ゆっくり引き出し…
そして僕の身体をきれいに拭いてくれた。
そのまま僕はしばらくソファーに横たわっていた。
結城も再び、ソファーにもたれて、目を閉じた。
「もう1回、泳いでくる」
しばらくして、僕は起き上がり…
水着を履いて、再び庭へ出た。
そしてまた…何事も無かったように…
穏やかな午後の時間が戻った。
泳いだり、プールサイドに寝転んだり…
そして時々、ソファーに座って眠っている結城の方を見てみたり…
そのうち、そのどれにも飽きた頃、僕はまた大きな窓からリビングの中に入った。
結城を起こさないように、そーっとソファーの後ろを通り抜け…大時計のある玄関の方へ出た。
リビングの反対側のドアを開けると、そこは食堂になっていた。
その食堂も広くて、美しいテーブルと椅子が並んでいた。
ホントに、外国映画に出てくる家みたいだ…
その一角のドアを開けると…その奥にはキッチンがあった。キッチンというよりは、レストランの厨房と言ったらいいか…広くて、大きな銀色の機材が並んでいた。
こんなの使うこと…あるのかなー
近付いて見てみると…それらは、普段人の住んでいない別荘のものとは思えないほど、ピカピカに磨かれていた。
もしかしたら…撮影ロケとかに、貸し出したりしてるのかもしれないな…
再び食堂を抜け…今度は階段の奥に行ってみた。
大きなトイレと脱衣所…そして引き戸の先には、ものすごく広くて立派な浴室があった。
うわー ホテルの大浴場みたいだ…
浴槽に沿って大きな窓が作られてあり、そこから緑いっぱいの森が見えた。
1階をひと通り見て回ってから、今度は僕は、階段を上って行ってみた。
階段から玄関が見渡せる、手すりのついた廊下に沿って、3つの扉があった。
そのうちの2つはベッドルームになっていたが…もう1つは、書斎のようだった。
大きな本棚と机…机の上には電話やパソコンが置かれてあり、会社の中の社長室のような感じだった。
何もかもが、映画の世界だ…
っていうか、僕のキャパシティーでは、
それしか表現する言葉が見つからなかった
普通に生きてたら…
こんな場所に来ることはなかっただろう…
いろいろな意味で…
結城との出会いに感謝するしかなかった
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