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あぶない悪戯(2)

それから彼は、僕の後ろ手のベルトを外した。 そして脱力して余韻に震える僕の口に… また、例の煙草を咥えさせた。 僕は力無く…それを吸い込んだ。 「ふぅー」 「手、使えないの…いいね」 そんなことを言いながら、 正田は僕の身体を抱き上げ…ベッドに連れていった。 そして、シャツだけ羽織った僕を仰向けに寝かせ… 両手を、高く上にあげさせた。 他の男が、その僕の手を受け取り… ベッドの柵に、タオルで縛りつけた。 「…?!」 「楽しい夜にしようねー」 そう言いながら正田は、僕の上に馬乗りになった。 そして、僕を見下ろし… 顔を近づけて、ニヤッと笑って言った。 「今夜はお前を…滅茶苦茶に犯してやるよ…」 なんて嗜虐的なシチュエーション… なんて嗜虐的な台詞… その煙草効果も相まって… 僕の身体は、 もうそれだけで1段昇ってしまった感じがした。 正田が両手を僕の乳首に押し付け… ゆっくり愛撫を始めた。 「…あっ…」 それに反応してビクッと震える僕のモノを… 他の男が、舌で探ってきた。 「んっ…ああっ…」 思わず曲げようとした足を、 また他の誰かが押さえ込み、口を這わせてきた。 「ああっ…あっ…」 と、喘ぐ僕の口を誰かが手で塞いだ。 そして、そのまま指を口の中に挿れてきた 「…んんんっ…」 気付くと… 身体中の至るところに男たちが群がり… 触ったり舐め回したり…している影が、 僕の目に映った。 「…んん」 僕は思わず…頭を大きく横に振り… 塞がれた口を振り払って…言った 「…やめて…」 「ふふっ…そうこなくちゃ…」 正田は若干、狂気じみた目で… 僕の両足を大きく開いた。 「嫌がってくれないと、凌辱し甲斐がないからねー」 そう言いながら、彼は自分のモノを 僕の中に無理やりねじ込んだ。 「…あっ…いや…あ…」 そして激しく腰を動かした。 「…触んなくても…イケるんでしょ?…」 そうしてる間にも、 他の指や舌が僕の身体を這い回っていて… 正田の言う通り… 僕のモノは既に絶頂寸前だった。 「…やっ…あっ…ああっ…」 直で触られなくても、 ときどき正田の身体にあたる刺激だけで十分だった。 正田が僕の中に出すのを待たずして… 再び僕はイってしまった。 「…ホントにやらしいな、お前…」 と、今度は他の男が、僕の首元に馬乗りになった。 そして僕の頭を両手で掴んだ。 「はぁ…やっ…やめて…」 嫌がる僕は、口元を押さえつけられ その彼のモノを口に挿れられた… 「…んっ…ん」 向こうでは、今イったばかりの僕のモノを 誰かが握りしめて、舐め始めた。 「んんっ…」 ふと目を開けると…横目に、 正田が例の煙草を吹かして… ニヤニヤとその様子を見ているのが目に入った。 僕はまた…そのシチュエーションに、酔った。 やがて僕の口から顔に… 生暖かいモノがかけられた… そして、また誰かが僕の中に挿入した。 それが抽挿されている間… 両側から乳首を、指で、舌で、愛撫され続けた。 「…やっ…あっ…あっ…」 僕はビクビクと、身を捩らせながら喘いだ。 そんな僕の口に… 正田がまた、例の煙草を近づけてた。 「ほら…吸って」 「ん…」 そしてまた… 僕は、わけが分からないくらい… 変な気持ちになった… 「…あっ…ん…んん…」 喘ぎにも力が入らないくらい…気持ちよかった。 僕はほどなく…またイってしまった… 正田は僕を見下ろして言った 「もっと欲しい?」 「はぁ…はぁ…」 僕は、力無く…首を振った。 「わかった。欲しいんだねー」 そう笑って彼は、再び僕に馬乗りになった。 その晩、僕は何度も犯された。 今更そういう言い方をするのは、 おかしいかもしれないが… その日は本当に、そういう感じのプレイだった。 妙な煙草と、その狂気じみたやり方が、 僕を何度も快感の渦に巻き込み、昇天させた。 やがて、 1人ずつ…僕の身体から離れていき… 最後の正田も、ベッドの、僕の隣に寝転がった。 「あ、待って」 僕は冷静に言った。 「寝る前に…これ、ほどいて」 「ん、あーそっか…悪い」 正田はちょっとめんどくさそうに、 僕の両手に絡んだタオルをほどいた。 「おやすみー」 彼はそう言い捨て…またすぐ横になると、 すぐに寝入ってしまった。 僕の身体はとても疲れていた。 それでも僕は、なんとか起き上がった。 ゆっくりベッドを降り… そこらにゴロゴロ雑魚寝している男たちの間をぬって、テーブルに近寄った。 テーブルの上には、僕に投げられた1万円札が、 無造作に山積みになっていた。 自分の洋服を探し出し、 それを着てから、一万円札を集め、 ズボンのポケットに押し込んだ。 テーブルの上に残っていた、その妙な煙草も 2〜3本…つまみ上げてみた。 これって一体、何なんだろう… 僕はそれを、シャツのポケットに入れ… 静かに正田の部屋を出た。 足音をたてないように、僕は廊下を進んでいき… やがて自分の部屋に着いた。 そっとドアを開け… 雅巳を起こさないよう、静かに中に入った。 僕はロッカーを開けて、 中から、自分の黒いコートを取り出した。 それをシャツの上に羽織って、 ロッカーをパタンと閉めた。 「…う…ん…」 その音で、雅巳がほんの少し、目を開けた。 「…ん?…郁…?」 僕は雅巳の方を振り返らず… そのまま再び部屋を出た。 そして今度は、非常口から中庭へ出た。 中庭を通り抜け… 学院の敷地を囲む鉄格子の壁の… いつも律也と一緒に抜け出した辺りに来た。 「…」 僕は黙って、その壁によじ登り…反対側へ降りた。 バイバイ。 心の中で呟いて、僕は山道を歩いて行った。 少し下った所に電話ボックスがあって、 そこからいつも律也がタクシーを呼んでいたのを覚えていたのだ。 「とりあえずこれで、行ける所までお願いします…」 僕は運転手に、1万円札を2枚渡した。 「…東京方面ですか?それとも逆にしますか?」 「そうだな…とりあえず、東京方面にします」 僕を乗せたタクシーは、 そのまま…山道を走って消えていった。

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