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残酷な悪戯(2)

そのときの僕は、まさに僕では無かった。 というか、正常な僕としての、 理性の働くスキが無かったと言うべきか… ただただ…快楽に飲まれている時間と… 恐怖に怯える時間とが、 交互に僕の身体と精神を支配していた。 「助けて…」 恐怖の時間がやってきた。 自分の身体がどんどんおかしくなっていき… 高熱の前の悪寒にも似た、 居ても立っても居られない感覚が、全身を襲った。 身体が勝手にガクガクと震え、 変な汗が滲み出てきて… それは、失神する直前の、 目の前がチカチカする感覚にも似ていた。 そして、誰かが僕を殺しに来るような、 あり得ない錯覚さえ起こした。 そんな僕を助けてくれるのが、恭吾だったのだ… 彼は僕を楽にしてくれる。 彼があの魔法の注射さえ打ってくれたら、 僕は天国のような快楽を手に入れられるのだ… 恭吾…どこにいるの? 「恭吾ー!」 僕は足をもつれさせながら、彼を探してまわった。 助けて…恭吾… 僕を助けて… バターン! 僕は、彼の部屋のドアを勢いよく開けた。 そこに、恭吾は…いた。 「…」 彼は黙って立ちすくんでいた。 「恭吾っ…」 僕は彼に駆け寄った。 「はぁ…はぁ…お願い…助けて…」 僕はまさに、泣いて彼の足元に縋った。 「…」 恭吾は動かなかった。 「…恭吾…?」 そしてニヤっと笑って言った。 「僕をイかせてくれなきゃ…あげない」 「…?!」 「僕を勃たせて…挿れさせて…イかせて」 恭吾は言い切った。 僕は、震えながら…彼を見上げた。 「…わ、わかった…」 僕は必死だった。 ある意味、経験値を上げておいてよかった… 僕は恭吾を、その場に勢いよく押し倒した。 震える手で…彼のズボンを膝まで脱がせた。 そして彼のモノを両手で握り… 舌先を這わせた。 「…んんっ…ふふっ…」 恭吾はニヤニヤしながらも、 身体をビクビクと震わせた。 「…末期状態なのに、さすがだね…んっ…」 恭吾のモノは、ビクビクといきり勃った。 僕は、覚束ない手で自分のズボンを脱ぎ捨て… 彼の上に跨った。 そして彼のモノを掴んで… ガクガク震えながら、自分の中にねじ込んだ。 「ああ…んん…」 恭吾は気持ち良さそうに喘いだ。 僕は…気持ちが良いのか悪いのか、 自分ではもう分からないくらい、 身体が変になっていた。 ただただ…恭吾をイかせるために、 僕は震えながらも、 腰を揺らして彼のモノを抽挿させた。 「…んん…気持ちいいよ…あ…郁…上手だね…」 呟きながら…恭吾は身体を捩らせた。 「んんっ…あっ…」 そして…僕の中に、生暖かい感触が広がった。 イかせた… そう思った瞬間… 僕はその場に崩れ落ちた。 恭吾は、ゆっくり僕から引き出し… 僕から離れた。 「…助…けて…」 倒れたまま、ガクガクと震えながら… 僕は哀願した。 恭吾は再び、僕に近寄ってきた。 そして、僕を見下ろして、言った。 「すごくよく出来たから…ご褒美をあげるね…」 そう言って、僕の腕を取った。 彼の手には、注射器が握られていた。 「…はぁ…はぁ…」 それを見て、僕は薄ら笑みさえ浮かべた。 「いい子にしてたら…いつでも僕が助けてあげる」 僕の腕に…注射器の針が吸い込まれた。 「はぁ…はぁ…」 その中の液体が、 完全に僕の体内に入ったのを確認して、 恭吾は針を抜いた。 再び僕はその場に崩れた。 ああ…助かった… スーーっと、身体が軽くなっていった。 恭吾のおかげで助かった。 そして僕の身体は、快楽に飲まれる時間に至った。 「もっとご褒美あげるね…」 そう言いながら恭吾は、 両方の手で、僕の乳首を愛撫した。 「…んん…ああっ…」 快楽の時間の僕の身体は、 異常なほど感度が上がっていた。 「あっ…はぁっ…あああっ…」 彼に両乳首を、イジられて… 僕のモノはビクビクといきり勃ち… そして気持ち良く吐精してしまった。 「はぁ…あっ…」 それはまさに天国のような快楽だった… 恍惚の表情で、僕は思った。 ありがとう、恭吾… 僕はもう、 君がいないと生きていけない…

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