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第3話 俺の職業

それからはもうお祭り騒ぎだった。自分の職業《クラス》を教えてもらい、その後にそのチートじみた能力を全員に見せる。まさに十人十色そのものだったが、唯一の共通点としてはやはり全員チートじみた魔力や武力、そしてスキルを持っていた。 最後尾だったから詳しくはわからなかったけれど、大体誰がどの職業《クラス》でどんなチートが出来るのかは何となく把握できた。 藍沢琴吹《あいざわことぶき》 弓使い 蒼樹大輔《あおきだいすけ》 犬使い 浅野奏《あさのかなで》 吟遊詩人 飯田橋希望《いいだばしきぼう》 商人 梅田総一郎《うめだそういちろう》 狩人 縁元《えにしはじめ》 剣士 枝元祐一《えだもとゆういち》 密偵 鳳《おおとり》あきら 人形使い 小川喜助《おがわきすけ》 占星術師 柿原健吾《かきはらけんご》 闘拳士 姫咲藤村《きさきふじむら》 槍使い 岸峰界人《きしみねかいと》 精霊術師 真田仁《さなだじん》 サムライ 時雨高松《しぐれたかまつ》 盗賊 獅子王前多《ししおうまえだ》魔法剣士 鈴鹿悠木《すずかゆうき》 狙撃手 瀬戸未来《せとみらい》 僧侶 高林暁彦《たかばやしあきひこ》 騎手 田村大智《たむらだいち》 妖精使い 次田真司《つぎたしんじ》 魔物使い 梅雨明《つゆあかり》 忍者 轍洋次郎《てつようじろう》 鳥使い 咎目雄星《とがめゆうせい》 暗黒騎士 留辰巳《とめたつみ》 武闘家 夏目博《なつめひろし》 魔導機士 七海大河《ななみたいが》 白魔術師 二家本譲治《にかもとじょうじ》 錬金術師 錦織清志《にしきおりきよし》 薬師 猫田昌幸《ねこたまさゆき》 猫使い 野良英智《のらひでと》 黒魔術師 長谷部晴雄《はせべはるお》 退魔師 羽原薫《はばらかおる》 竜騎士 藤屋勝《ふじやまさる》 斧使い 明治成《めいじなる》 赤魔術師 百田蓮舫《ももたれんほう》 銃使い 山下聖《やましたさとし》 召喚術師 大和総司《やまとそうじ》 重騎士 夢野幸一《ゆめのこういち》 銃剣士 和田陽綺《わだようき》 聖騎士 みんながみんな能力が発覚する度に一喜一憂を繰り返した。しかも職業《クラス》にあった服装になる。だからみんな制服からファンタジーな世界の服になっている。甲冑を着る戦士もいれば、ローブを着ている魔術師もいる。みんなそれぞれその職業《クラス》事に魔法で着替えている。 「次が最後じゃな。巳陽梓、ここに」 ついに俺の番だ。これが最後ということもあってみんなちょっと疲れている、はしゃぎ過ぎだ、まあ気持ちは分からんでもないけど。自分は何だろうな。これまで一度も職業の被りがないから俺もきっと唯一無二なんだろう。でもみんなチートみたいなことができるから俺も期待したい。っていうか無いと悲しい。 「梓、魔法陣を起動させるぞ!」 ベルトルトさんの声で魔法陣が光り輝く。どんな服になるのだろうか、みんなこのタイミングで着替えてるから多分俺もこのくらいの時間で…… 俺は希望に満ちていた。当然だろう、こんな経験今後絶対に起きない。多分隕石が地球に墜落したり24時間以内に交通事故に遭う確率より圧倒的に少ないだろう。期待したってバチは当たらないはずだ。そう思っていた。だけど次の瞬間、俺は絶望とか困惑とかに叩き伏せられる事になる。 自分が光に包まれた時、先ず最初に服が消えた。ここまではいい、ああ俺もついに着替える時が来たかと思った。アラビアの女性みたいなスケスケの布が胸を隠すための厚手の布に繋がって、手足には少しの動きでシャラシャラと音の出そうな鈴がついて……あれ? もうこの時点でおかしいと思った。でも俺の違和感なんてどこ吹く風、どんどん衣装が出来上がっていく。頭には細いチェーンで出来たアクセサリーが乗って、結婚式で新婦の頭に乗っているベールだっけ?が追加された。 「ふむふむ……お前は踊り子じゃな!」 光が止み、俺の全貌が明らかになった、なってしまった。アラビア女性が踊る時の服みたく、全身スケスケだ。しかも胸元の装飾過剰な厚手の布は最低限胸を隠すことしか脳がなく、下半身のスケスケ布の大元である腰巻きに届こうともしていない、へそ周りが可哀想なぐらい露出しきっていた。 元々帰宅部とはいえ家ではそれなりに鍛えていた、まああくまで趣味の範囲で明確な目標があったわけではないけれど、そんな俺の自慢な隠れた肉体美がここでお披露目だ。しかしこんな所で見せても何一つ嬉しくない。マジで。 「な、何で俺は踊り子なんすか!?」 ベルトルトさんに訴えるべく体を動かすと身体の両手首と両足首に付いている小さな鈴の集まりがシャラシャラと大きな音を立てた。その音を聞く度に何故自分はこんな格好をと俺悪くないのに自己嫌悪に陥ってしまう。 「まあお前達からすれば完全な運じゃからな、自分の思っていた職業《クラス》と違くとも多少は我慢してもらわんと」 うん。俺は勿論ベルトルトさんも悪くないってことは十分にわかった。でも男の俺がこんな服着てたって誰も喜ばないだろ。周りの奴ら何も言わねえけど絶対ドン引いてる。 するとベルトルトさんは俺の考えていることがわかったのか、大丈夫と一言。そして、 「大丈夫じゃ、皆お主の事を軽蔑の目では見てはおらん。むしろお前のスキルのせいで大変な事になっとるぞ」

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