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第21話 もどかしくて

なんとな落ち着かせようとあの手この手を考える俺を、仁はそっと抱きしめた。 「落ち着け、いきなりぶち込むわけねぇだろ」 「その発想に至る時点でもうアウトだ」 「ん?そうか、じゃあ指にとどめておくか」 ここ数時間で分かったことがある、こいつは天然なのかも知れない。専売特許をばいせん特権とかいう新しい日本語と間違えるし、さっきの質疑応答もなんかズレてた。単純に馬鹿なのか、それともただの天然か二択だけども。 「安心してくれ、俺お前が気絶してる間に調べたんだ。男同士のやり方とかどこで感じるのだとか、前座や後処理もちゃんと覚えたぜ」 ああこいつは天然だ。と言うよりこんなこと熱心に勉強してたのかよ、普段の学業でその記憶力は生かしてくれ。こいつ本当は勉強出来るんじゃないか? ただやる気がないだけで。 「まず足を開くぞ」 「早い早い」 もうすっかりやる気な仁を前に、貞操の危機を覚える。ああでも身体が喜んでる、仁だ、本物だとコイツを求めている。 「わりぃ顔上げてくれ」 「ん?……!?」 顔を上げた刹那、唇に触れるこの感触。柔らかくて、あったかくて、これはまさか…… 「ん!?」 キスだ。身体が反射的に抵抗をしめすが、ガッチリ押されられた身体では、所詮ちょっとびっくりしたんだ程度の認識しか、与えることは不可能だろう。こいつ舌入れやがった。初めてでいれるのか? したことないから分からん。 気がついた時にはもう下半身を脱がされていた、いつの間に。そのまま指を入れようとするもんだから、まてまてとキスを無理矢理振り解いた。多分コレで仁は不機嫌になったかも知れない。 「指は、早いだろ!」 「いけるだろ。さっきお前がアナニーしてた分、入りやすくなってると思う」 恥ずかしすぎる。母親にオナってるの見られた時より恥ずかしい。いや母親は大きくなったねぇぐらいの対応だったが、今回は場面が違いすぎる。今から俺を抱こうとしている人間の目の前だぜ、中学生だった頃の俺にいってやりたい、その程度のことで恥ずかしがるなと、それより恥ずかしいのこれから経験するからと。 「約束する、手荒には扱わない。気持ちよく出来るよう頑張る」 「が、頑張らなくていいから待て!……んう!」 入れやがった、マジで入れやがった、真剣な顔して入れやがった。さっきまで俺が弄ってたから、信じられないぐらい簡単に入った。自分の身体がおかしくなる。仁に喜んでいる、指が入ったただけで身体がガクガクと震えた。キスの時から力が入りづらいと思っていたが、入れられた事でなんの抵抗もできなくなりそうだった。 「辛くは……なさそうだな」 「は、はぁうぅ……ぬ、ぬけ、よ」 「駄目だ。こんな気持ち良さそうなのに抜いたら可哀想だもんな」 ……どこでそんな言葉責め覚えたんだよ。こうつ不良だし、女とも仲良いだろうからな。そんなこと考えてると胸がキュッとなった、何故だか明白に嫌だと思った。 中を弄り始めた、弄ると言うより探すの方が適切かも知れない。俺より手がでかいし指もゴツゴツしているから、刺激を強く感じてしまう。 「ふ、ふ、んん……んあぁ! 」 「あ、見つけた」 中学生みたいな不敵な笑みを浮かべた。そこを集中的に突かれると覚悟していたが、そんな事はなかった。寧ろわざとそこを避けているような、その周りを重点的に責められた。 最初は休憩時間だと安心したが、その優しい刺激はいつしかもどかしいものに変わっていった。気持ちいいと聞かれれば確かに気持ちいい。でもそれで物足りないと、すっかり淫乱になってしまった身体が訴えていた。 「なあどうして欲しい? 梓、俺にどうされたい?」 確実に計画犯な仁に怒りを覚えるも、もうどうにもならない事は分かっていた。こいつに縋り続ける以外、このどうにもならない身体の熱を抑える方法はないのだと。これはあくまで熱を抑えるためだと前振りを置き、息を吸う。 「お、お前のせいで俺の身体おかしいんだよ、責任取りやがれ!」

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