29 / 206
第29話 妄想
こんな第三者から見てもわかるぐらい興奮しきっている見てくれでは、言い訳してもすぐに論破されるのがオチだ。出来れば高松の前ではこういうのは見せたくなかった。見せたらなんか怖そうじゃん、例えば言葉責めとか言葉責めとか。
10㎝ぐらい身長が低い男に力でもスピードでも負ける俺ってなに?チートは特にない感じなの? 唯一魅了のスキルでは勝てそうなもんだけど、そんなんで勝ったって嬉しくもなんともない。
「あ、謝るから!悪かったって!」
こうなればさっさと謝ってしまおう。こんな時に意地張るほど俺は強情でもないし、命知らずでもない。しかし高松は一向に手を離してはくれなかった。むしろ俺の痴態を見て喜んでいるようで、子供みたいな笑みを浮かべている。俺は自分がこれからどうなるのかすらも分からず、ただ怯えていた。しかし、運が良いのか悪いのか、高松は仁より頭がいいみたいだ。
いきなり押さえつけられていた身体を上に、ちょうど鏡と向かい合うように持ち上げられ、断固として話してくれなかった左腕の拘束をあっさり離してくれた。しかし胸の後ろは掴んだまま、一体何をしようというのか。
「反省してんなら行動で示せ。そうだな、今から俺がエロいこと話すから、それで抜け」
わざとらしく悩んでいるふりをしていたと思えば、耳を疑うほどのことを欲求してきやがった。そんなんで抜けたら苦労しねえよ……と言いたいところだが、発情体質のこの体では内容次第でいけるかもしれないとは思う。
「見られんのが踊り子の仕事だろう、やれ」
ドSせっかちな高松はもう返事が欲しいようで、返事の意味合いとして、小さなパンツを脱いだ。上半身は胸の布、下半身はパンツがスケスケの布の大元となっている為、必然的に下半身だけが全裸になる。そんな気はしていたけれどほんの少しだけ勃っていた。毛も生えていないツルツルのそれは男性化ではない何かのようだった。
「エッロ。それで仁も悩殺したってか」
「うぅ、ごめん」
「いいよ。でもこの欲しがりそうなチンコにはお仕置きしねえとな」
お仕置き。そう言われて、また未知なる何かが昂っていく。……俺はひょっとしたらMっ気があるのかもしれない。震える体でなんとか自分のそれを掴む、言葉で犯される体型に入った。
高松は俺のそんな無様な姿にようやく気分を良くしたようで、悪っぽい笑みを浮かべなが
ら頭を撫でられた。まるで従順な飼い犬へのご褒美のように、調教で芸を覚えた動物への労いのように。
「じゃあいくぞ。お前は雌だから、男に抱かれたかった。そして、ようやくそれが叶った。男の風貌やプロフィールはお前の想像に任せるが、お前がずっと抱かれたかった相手だ」
一言目からアウェー感が半端ないが、思ったよりも妄想の自由度が高くて一安心した。自分の頼りないそれを右手で優しく握り弄ると、ふぅとだらしがない声が自然と出た。
「男はお前と口づけを交わしたのち、胸、腹へと進路を進め、ようやく下半身を犯す準備をし始めた」
思ったよりも生々しい話で、恥ずかしいがアナニーが捗る。相手は……俺の頭の中には仁しかいなかった。そんな事こいつに言ったら怒られてしまいそうだ。
「ケツの穴を重点的にいじられ、キツキツだったこそはもうローションまみれのガバガバアナルだった。指が3本ぐらい余裕で入るなぐらいだな」
「あ…………」
ケツの穴、言われた瞬間に、とてつもない不足感が俺を襲った。足りない、欲しい、俺の尻に突っ込んでくれ。今までよく前だけの意識でやれてたなと思うほど、俺の欲望は大爆発した。たまらず、左手を口の中に入れてぬるぬるにする。高松はその行為の意味がわからないようだったが、その左手を尻の中にゆっくりと挿入した瞬間、何故だか嬉しそうだった。
「うん……き、気持ちいぃ……」
堪らず声が出た、前より後ろの方が感じるとこの時確信に変わってしまった。前をいじる右手の動きが疎かになり、俺のアナニーは左腕に集中していった。
「変態。まだ途中だから、イくなよ」
その言葉とて興奮材料になる俺は、本当に踊り子のように、淫魔のようになってきているのかもしれない。実際淫魔は見たことがないから正確にはわからないが、俺が自分の痴態を見せることに快楽しか感じないようになったらいよいよ終わりだろうな。と、鈍感になってき始めている頭でポツポツと考えていた。
ともだちにシェアしよう!