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第45話 健吾、見る
双方ともに言葉を失った。互いに境遇は全然違うけど、何故か同じ様な顔をしていた。
さてここでお互いの状態を再確認しよう。健吾はちゃんと闘拳士らしい服を着ている、身長が低いせいかかっこいい格好も可愛く見えてしまう。急いで来てくれたのだろう、でこからの汗が光っていた。
対する俺たちはこうだ、全裸で下半身が繋がってる。以上だ。健吾よりも汗はかいているけど、価値が全然違う。レベル月とスッポンって感じだ。
「ふ、2人とも何やってるの……?」
いつも明るい健吾が、信じられないものを見たって顔で、俺たちの事を異聞と出会した時の様な目で見ている。こいつのこんな目見たの初めてだし、これからもできるだけ見たくない。
「け、健吾、話をしよう。話せばわかる」
必死に訴えるも、俺の中には図太い仁のソレが入っている。今も前立腺を中心に熱が広がっていて、少しでも油断をしたら危ない。そんな俺を見て、健吾は何を思うのだろう。そしてこれ以上滑稽なことはないその様をずっと見ている仁は、何を思っているのだろう。視野にいないもんだから顔はわからない。
「ふ、2人でエッチなことしてたの?」
「いや違う」
「でも、中に入ってるよ」
「待て」
「気持ちよさそうだし……」
「待ってくれ」
健吾は真っ赤になっている。同じ高校生だとは思えないぐらいの初心な反応は、本来なら可愛い事この上ないが、すまない。今この状況ではそんな事思ってる暇がないんだ。そんな童貞感丸出しの健吾と、クラス全員に非処女とバレた俺の話なしばらく続きそうな予感だった。だが、最悪のタイミングで盛ってる奴が丁度後ろにいた。
「おい仁、なんで萎えてないんだよ」
「いや……」
いやじゃないよ。言っておくけど俺は萎えてしまっている。穴の感度も大幅に下がっているとは思う。だからこそ今中に入っていても余裕でいられるのである。まあこの発情体質のせいで完璧に安心できる状態ではないけれど。
「ごめん。気持ちいいし、焦ってる梓もエロ可愛いから」
俺には理解は出来ても納得はできない。そんな理屈とも呼べない理由を受け止めるしかなかった。こいつに力で勝てるわけないし、何より今動いたら感度が低くても危ない。目の前には目をぐるぐるとさせて要領を得ない健吾がいる。こいつの目の前で、してしまうのは流石に気が引けた。
やるなよ、動くなよ、いやフリとかじゃないからな。この発情体質の前では、たとえ感度が低い前立腺でも一発で天国だからな。今の俺にとっては地獄だけども。
「おいおい、まさかやるわけ……あぁア!」
「梓、大丈夫?」
「……ごめん。俺が行くまで付き合ってくれ」
こいつ正気じゃあねえ。人様が見てる中で何致そうとしたんだよ。恥ずかしくて頭がおかしくなりそうだ。目の前の純真無垢な健吾の瞳がつらい、自分の弟と比べ物にならないぐらい純粋だった。仁は俺が気持ちよさで震えているのを無抵抗、即ち推定と捉えたのか、大きく動き始めた。今朝総司が言った通り殴ればよかったのかもしれない。
「じん、ふぅあッ……いいか、げん……にしろよ! ヒァあア!」
言葉で抵抗しようにも上手く声が出ない。心の中でしか悪態をつけない。せめて健吾には見ないでいてほしかったが、当の本人は俺の望みとは正反対、恥ずかしがりながらも俺たちの行為を凝視していた。
「梓、だ、大丈夫?」
「平気だろう」
「で、でもでも、苦しそうだよ……」
「気持ちよすぎるんだろう」
くそ、クソ。言い返してやりたいが、真実なだけに何も言えない。無念。そうだ、こんな状況だが気持ちやがてたまらない。これでもし健吾がいなかったらシュチュエーションも最高だったと断言できるほどには。しかしそれ以上に戸惑いがある。生憎俺には視姦プレイなんて趣味はないからか、快感よりも戸惑いの方が大きいかもしれない。
「後もうちょっとで出るから、もう一踏ん張りしような……健吾も見とけよ、丁度いいタイミングだ。こいつが誰のもんかまずはお前に見せつけてやる」
「え、え……?」
健吾はなんの話なのかいまいち分かっていなかった。しかし俺にはもちろんわかる。身体が熱いのに、気持ちいいのに、サーッと背筋が凍るのを感じた。目の前で中出しをするつもりでは……またまたソレは違うだろう、気持ちいいだろうけど、違うだろう!
無抵抗なまま目の前は健吾の視姦、背後は仁による半強姦ってな感じの四面楚歌状態は続くことになってしまった。怖いよりも焦りが勝った。俺のプライドが、少しずつ削ぎ落とされていくのは、まさしく筆舌に尽くし難いものだった。
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