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第71話 美味しい

驚きを超えて震えの域に達している健吾は泣きそうなぐらい目をうるうるさせて、俺から逃げようと後ろに手をやった。させない貸してくれって言っただろう。貸すというより奪うと言った方が正しい程、俺は力尽くで健吾を抑える。 俺の片腕の力なんて闘拳士の健吾には敵わないはずなのに、存外簡単に出来たのは遠慮していたのか、それとも頭がそこまで回らないぐらいに焦っていたのか。目の前のまろびでそうなぐらい大きな目が、主人たる健吾の焦りを物語っていた。多分後者だろうなこれは。 「な、何するきなの?」 「ここまで来て逃すかよ。ちょっと借りるだけだって、別に減りやしねえしな」 そうだ。俺はちょっと健吾のチンコ借りて気持ちよくなりたいだけだ。さっきから胎の奥が疼いて仕方がない、こいつのを抜き始めたからだ、間違いない。いやそんなこと健吾からすれば知ったこっちゃないという話かもしれないが、俺の方もそんな主張知ったこっちゃない。そんなんいいからはなくチンコだせや、もう出してるけど。 いやいやと怖がる童貞丸出しなのを今更ながら少しだけ可哀想だと思った。こいつはこれから同意もなしに童貞取られる上に、その相手が性欲丸出しのケダモノみたいな俺なんだからな。俺が同じ境遇だったら、この時点でトラウマになって未来永劫不全になると思う。しかしこいつは違うようで、 「あずさ、嫌だ、いやだ……」 「嫌じゃあねだろ、チンコの方が素直だぜ。こんなおっ勃ててるせいで俺の身体熱いんだよ」 9割9分俺が悪いけども謝るのは後だ、今は欲しい、ちんぽが欲しくてたまらない。完璧にばっかしたそれは、子供みたいな主人とは似ても似つかない立派な姿だった。仁や魔王みたいな怪物に例えるのがおかしいのであって、健吾もどちらかと言うと巨根の部類だろう。手なんてとっくに離しているのに、いつまでもバキバキと衰える事を知らない。 自然と腰が揺れるのは、目の前のそれに期待しているから。自分の口かららしくないよだれが流れるのは、俺が完全に堕ちてしまったから。そうだ、どうせなら緊張を解いてやるか。俺は尻を慣らしている手以外の3本で這いつくばるようになった。そして、健吾のチンポが俺の顔の近くに…… 「しょんな、顔近づけたら汚いから……」 「うるせ……黙って勃起してろ」 大きなそれを見る、これからこれが入ると思うとたまらない。尻を慣らす手が捗るったらない。雄の匂いで頭まで馬鹿になったまま、欲望のままにそっと舌でちろりと舐めた。 「ひゃ!!??」 「んぁ……おいひい……」 飛び上がるように甲高い声で叫んだ健吾、未知の感覚に驚いてしまったんだろう。だが俺はと言うと、対照的にウキウキしていた。今まで2人ぐらいのチンコを下半身で咥えたけど、ここまで俺が優位に立てたことがなかったから、すこし、否かなり調子に乗っている。昂った気分はついに触覚以外に味覚すらも侵略に成功したようで、ふと無意識に美味しいと言ってしまった。 さてここからが本番と、勢いのままチンコを口に頬張った。どっちが入れるのかわからんぐらいの情けない喘ぎが頭上から聞こえる。それが堪らなく嬉しくて、律動が自然と早くなった。美味しい、本来ならそんなこと思うわけないのに、涎が出るぐらい美味しい。 「けんごぉ……おいひい。もうひょっとだけ」 「ダメだって!それ以上は……」 俺の初めてのファラはそり返るほど気持ちいいようだ。まあ俺めっちゃ頑張ってるからな。意外と難しい、どうやっても歯が当たりそうになるから大胆な動きができないのが残念だ。しかも結構奥まで入れてんのに、健吾のはまだ3分の2ほど残っていた。 多分仁とかだったら半分残っただろうけど、今はそんなのいいんだ。こんな大きいのに主人のせいで未使用な見掛け倒しチンポを、これから俺が初めて使えるんだからな。この優位性による快感だけで飯が3杯食える。出し入れするだけが限界な我ながら素人丸出しのフェラだったが、それでも健吾には絶大なダメージがあったようだ。大きな鼓動を感じた瞬間の事。 「うぅ、ごめんなしゃい!なんか、にゃんかでるよぉぉ!」 「ん!?もごぉ!」 口に突然ものが入った時、本当にもごなんで言葉が出るのだと今日学んだ。こいつ、出すなら出すって前持って言えや。まあいきなりしゃぶった俺には文句言う権利ないか。口を覆い尽くす白濁色のそれを、時間こそかかったがごくり頼み込んだ。健吾は驚いたような、信じられないような顔をして俺のことを見ていた。 「さあこっからが本番だ、歯を食いしばれ」 「へ?なにを……!?」 ようやく正気を取り戻し始めた健吾にさらなる追撃をかけた。気持ちいいのが欲しすぎた俺は、慣らしていた手を出すと間髪入れずに尻をチンポに擦り付ける。この見掛け倒しなだけな早漏巨根チンポをひいひい言わせてやるからな。 「いただきまーす……」 静止の声は興奮という名の不思議なバリアーで俺の鼓膜まで届かず、そのまま欲望のまま、ゆっくりと俺から潜入した。

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