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第161話 兄に捧ぐ

弁明をさせてくれ話せばわかるとかとにかく思いついた順から適当に御託を並べているこの俺のなんと滑稽なことか。でもせめて命乞いをする権利はあるはずと必死に食らいつく、けっかそんなもん知らんといった勢いで腰を掴まれた時にようやく心の底から詰みを感じた。 「安心しろ、別に壊れるぐらい犯すなんてこたぁしねえそんなことしたら背後にいるクズムシと同類だからな」 「ど、どうも……?」 「なにクズムシって、せめてゴミムシでお願い」 お前はそれでいいのか、嫌だとかは思わないのか。とにかく俺の生命がこの場で脅かされる心配は今のところなさそうだ。 「そのかわり……」 「そのかわり?」 「今兄貴が誰と何やってんのかわかるまで徹底的に抱き潰す」 だからあれは気の迷いだって、なんてあん時の俺仁と蓮くんを間違えたんだろバカ丸出しにも次元ってやつがあるだろ。 動くぞと言われた瞬間に腰に打ちつけるような大きな律動が始まる、入り口で焦らしたと思えば奥の奥にきつめのディープキスをかましてくる。百戦錬磨とはいえ受け入れることしかしたことが無い俺のなかは、この童貞にしてはやけにテクがいい攻めをアンアン言いながら受け止めるしかない。 「ほらわかるだろ、自分が今誰にどんなふうに犯されてるのかって! 言ったらさっきのは許してやるから!」 「いや、ぃや、、いきだぐな″い″〜!」 「ッッ……! そうかよ、だったらもっと激しくしてやらねえとな!」 違うんだ別にお前の責めでイきたくないと言ってるわけじゃあない、シンプルに忘れてないか、ここが湯船だってこと。こんな場所で出そうものなら風呂全体が蓮くんや俺の精子で汚染されることになってしまう、それでいいのか。まあ我慢汁も含めたら既に手遅れな気がしないでもない、というよりどう考えてもとっくの昔にアウトだろう。だからこれは公害に関する心配ことではなく、根底は常識を守ってなけなしの自尊心を守るという目的で動く自衛本能だ。 「そんなに意地張らないで、そのまま我慢しても弟くん引き下がらないと思う」 「そ、ぞんなこと言ったってッギャゥッ! クゥぅ!?」 目がチカチカするあの感覚が近い、股がムズムズする、あの快楽が恋しくてたまらない。乳首をぐりぐりする力が強くなる。それと同時に動きが激しさを増す一方である蓮くんのチンコが偶然俺の結腸に元気よくダイブしてった。人体からでちゃいけないような喘ぎとも取れない喘ぎが喉を突き切る。マグマのように真っ赤そしてドロドロにまで追い詰められたこの身体では、電撃のように突き抜ける快楽を止める術などとうになく、脊髄反射でゴーサインを出しているのが手に取るようにわかった。 ギャゥってなんだよギャゥって。耳ざといのかこんな状況の俺より頭の回転が必然的に早いのか、とにかく2人に怪奇な顔をされた時に初めて何言ってんだ俺と気がつく。怪奇な目して腹の底の笑いがバラバラなのがなんとも腹立つと同時に恥ずかしい。 「ギャゥってすごい色気のない声だな」 「その飾り気のなさも兄貴の魅力だ」 「あら知った気になっちゃって。そんなの彼氏の真田が聞いたらマウント取られて張り合わされらことになるよ」 「平気だそれ以上にマウント取ってやる」 マウントを永遠と取るつもりだ、15年も兄ちゃんしてんだからそこら辺は詳しいぞ。これもその1つだと言わんばかりに勢いが強くなる。お湯のせいでいつもより大きく聞こえる気がするパンパンの音に合わせて「お″、お″、お″、お♡……」と声が出るのがやめられない。自分の痴態を耳で感じながら弟に犯されてイくなんて、こんなの癖になってしまう。更にド変態になってしまう、……これ以上の変態の才能開花なんてあったら間違いなく仁にもドンびかれるよな…… 背筋が凍るのを感じる。こんないやらしい身体を1人で持て余すなんて、そんなの考えるだけでも耐え難い。 「あ、またカレシのこと考えてんな、今誰とセックスしてるんだ?」 「い″やぁ、、ゆるじでぇ……」 「許すもなにも怒ってない。誰とセックスしてるんだ、今兄貴の穴に入ってるチンコは誰のだ?」 涙を指で拭われる。なけなしのお兄ちゃんとしてのプライドがそれだけでズタズタだ。蓮くんにすらメスにされた俺じゃあもう胸張って弟と呼ぶこともできないだろう。……ああそうだ、今俺は身体は違うとはいえ実の弟に抱かれてるんだな。 「兄貴がどんなにホモセックス中毒な変態でも、男好きな淫乱でも、オレはずっと好きだよ。物心ついた時からずっと好きだった」 熱烈な愛の告白。目の前の男を捕食の対象として見ているオスの顔、__しばらく見ない間に本当にかっこよくなったな。 「お″れぇ、、いま、弟と、れんぐんとセックスしてる……♡」 ようやく満足したような顔をした。そんなに認知されるのが嬉しかったのか。わかったならばもっと言ってやろう。 「れんくん、気持、ちいい……もう無理イク、イグゥ……」 「あ、兄貴、オレも出る……中に出してもいい」 出して欲しい、身体の中に、もう普通の弟じゃないって印が欲しい……! ドチュンドチュンと激しい音が最高潮となるなか、熱くねっとりとしたモノを感じる。ああ不全だけどちゃんとイけたんだってムードゼロな心配事を頭の片隅で浮かべる。焼けるような刺激の後に、湯船に白いモノが浮かぶ。じっと見ながら……静かに意識を失った。

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