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第194話 純度が高すぎて
今日の夜には設計図が完成する、夕方ホロケウさんに言われた。そうすることで1番の話題となったのは、タイムリミットを意識して夜のうちにコグダムを出て行くか、それともクラスメイト全員のコンディションを意識して明日の朝に出て行くか。俺と仁そして自分の3人で決めることではないと、外で歩いたり時計塔を探検してる奴ら全員を集めてクラス会議を行おうかと喜助は提案したが、ホロケウさんのこと言葉で答えが決まってしまう。
「夜に外に……あまり推奨はしませんね。昼より強い魔物がいるやもしれません。それに太陽の下だと理性を保つ者も、夜にはたちまち凶暴化してしまいます」
コレのおかげで明日の朝雨天決行になった。確かにあんなに堂々と大名行列のように歩いていたけど魔物らしい魔物に出会わなかった。せいぜいいても瓜坊を守ために警戒している母猪や、川で魚食べてるやたらと大きい熊(曰くグリズリーという熊に似た魔物)程度だ。まあチート能力持ってる勇者が40人もいる中で魔物相手に大手振って歩けなんて言う方が間違っているのだろう。
やっぱ現実世界でも夜行性の動物の方が多いように、夜になると魔物は怖くなるものらしい。1度や2度の先頭ならまだしも着くまでに2日急いでも1日かかる道を歩くとなれば話は別だ。全員のコンディションを意識しつつ安全な日中にしようと決まった。
「要らぬ世話にならぬなら、小生の水晶玉で和の国に言伝を送っておきましょう。すぐに船を出港させられるように手配をと」
「ありがとうございます、助かりました。あいにく唯一の足が船なもので……一応の確認ですが、日中でしたら行きと同じく凶暴な魔物はいませんよね?」
保険を張れるだけはっとくリーダーそれが喜助だ。俺はこいつのそう言うところ好きだ。ヘタレでもないし勇気がないわけでもない、極限まで仲間の事を思った純度の高過ぎる及び腰というやつ。
「うーむ……近道をしない限りは、大丈夫かと」
「近道と言いますと?」
ここらの土地勘が尋常ではないホロケウさんの話だと、俺たちが通ったのは戦う力がなくても大丈夫なぐらい安全な道。そこから少し外れると、コグダムに伝わる近道である洞窟がある。あの険しい山脈をトンネルみたく突き抜けるように出来ているその洞窟は、中が氷河に覆われて、しかも非常に攻撃性の高い氷の妖怪が住んでいるとのこと。
1日もあれば突っ切れるぐらいの近道になるとはいえ、そこはコグダムの学長つまりホロケウさんが認めた人間ではないと通る事はもちろん近づくことすら禁止されている魔境。夜に行くなんてもってのほかだ。しかし日中なら……どうなんだ?
「勇者さん達の力があれば洞窟を通り抜ける事はもちろん、退治も可能かもしれない」
「なら、その道を教えてください! 梓のためにも!」
……ちょっと前に及び腰って言っただろ、アレは嘘だと思って欲しい。今中々攻めたこと言ったぞこいつ、なんというか、急に他のクラスメイトと仲良くなり始めたせいで今までのクールな委員長キャラの崩壊と共に、いい刺激を受けているんだろうな。
「力仕事ならオレらが出来るぞ、たかが氷使う程度なら叩き斬ってやるぜ」
頼りになるのか恐ろしいのか、仁は刀を構える。ホロケウさんはしばし悩んだ後、漸く許可を出してくれた。勇者相手に渋るとかどんだけ怖いんだその妖怪、寧ろこういう時は助けて下さい勇者様的な感じじゃないんだ、やっぱしそこら辺俺の世界とこの世界は食い違ってるな。
「獅子は我が子を千尋の谷に落とす……いざやる側となると綻んでしまいますね」
いた俺たちはホロケウさんの子供になったんだ。まあなんだかんだで、無事に明日近道を突っ切ってついでに氷の妖怪を退治するという方針が決まった。明日まで自由な身だから今日もゆっくり休むとしようか。今日は昨日とは逆に俺たちの世界の食事を食べてもらおうと、ホロケウさんに寄せ鍋を作り方を教えるという方針になっていたらしく(主に奏や清志の手で)、それを楽しみに待つことにした。
しかしここでも俺は安らかではいられない。どうせ自室でゴロゴロするだけだと思ってたけど、思わぬ来客の姿が。仁ではないぞ、ホロケウさんでもない、喜助だ。なんだかんだ話したりしてたけど部屋に招待するなんてのはなかったなと考える。今回は向こうから来てくれて少し緊張気味だ、バレていないだろうか。それにもう一つ問題もある……
「そんなに緊張しないで……ただゆっくり話をしたいだけだから」
「ご、ごめんな。バレてたか……その、この部屋じゃなきゃダメか?」
「出来るなら人目のないところが恥ずかしくなくて望ましいかな……なんだったら僕の部屋でも構わないよ」
「ごめんないそれは良いです。その、そっちの方がもっとやばい」
どうしたのだろうと心配してくれるその純度が辛い。いやはや昨日夜結構派手目にしたからか、自分の部屋というだけで辺なこと思い出す。かと言って喜助の部屋でもなんかやだ、そもそも俺仁の部屋ですら入らない。なんであいつは平気そうな顔して入ってこれるんだろう、悪くいうつもりはない、ただある意味尊敬している。
………………
『む、お"、お"ん……もっどぉ、あちゅいのもぉ、ナカにビュッビュしてぇ〜』
『わかった。熱いの沢山入れてやるから、溢すなよ、まあまた熱いのいくらでも入れてやるから……!』
………………
昨日の記憶や、頼むから静かにしてくれ。コレじゃあマジで、俺だけド淫乱じゃねえか!!
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