21 / 96

第21話

翌日の放課後、学園中がマレウスの背中の傷跡があることが広まった。 運動着への着替えのときに、マレウスは傷跡を隠すこ行為をしなかったからだ。 「マレウス、何故傷を治さないのじゃ?」 リリアの質問にマレウスはこう答えた。 「奴が爪を切らないからだ。僕と噂になりたくなければ切るだろう」 すると慣れ親しんだ声が遠くから近くに聞こえてきた。 「若様〜っ!!お労しや、若様を傷付けた者このセベクが成敗致しますっ」 セベクはマレウスの前で涙を流していた。 「そうか。ではキングスカラーに爪を切るように言ってくれるか」 マレウスがそう言うと、セベクは笑った。 「若様でもご冗談を仰るなんて、セベクは笑ってしまいました!!」 学園内でいつも犬猿の仲のマレウスとレオナで有名なのだ、誰が本気にするだろうか。 「……冗談ではないのだが。そんなにおかしいだろうか、リリア」 マレウスは真実を知るリリアに話をふった。 「この学園でおぬしとレオナをそういう目で見る輩はいないだろうな」 そう、リリアの言うとおり、マレウスとの行為の相手がレオナだということを誰もが信じなかった。 このマレウスの作戦は失敗に終わった。

ともだちにシェアしよう!