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第78話
啄むような口付けはレオナは嫌いだった。
けれどマレウスは知っていてそうしていた。
もどかしい快感が嫌いなレオナは、もどかしい口付けも好まない。
それでも辞めないのは、マレウスは他の誰とも違うということを知らしめたかったからだった。
人の思いが違うように、自分は他の誰とも違う、思い通りに事は及ばないことをマレウスはレオナに知ってほしかった。
それでもレオナがマレウスとのこの情事を辞められないのは、自分が思っているよりも相手に執着しているからだろう。
そして想像以上に快感を与えてくれる期待が互いに感じていた。
なんでも完璧にこなす天才的なマレウスと、幼い頃から仕込まれているレオナ、互いに規格外なのだ。
大きな掌が褐色の艶めく身体を這っていくと、されているほうは快感に声を上げた。
「はぁ、んん……」
ネコ科獣人特有の喉が鳴るとマレウスは妖艶な笑みで顔を歪ませた。
「ふふ、気持ち悦いだろう」
「ん、……焦れってぇ」
最近焦れることに快感が増すことを知ったレオナは、マレウスの手が嫌いじゃない。
しなやかで大きく綺麗に見えるマレウスの手は、実際触れられるとゴツゴツしていることをレオナは知っている。
その手が下腹部に下りてくると、その下に触れられるのを期待してしまう。
その期待通りに触れてもらえて、レオナは淫れた。
「ん、あぁ……っ」
「僕のにも触れてはくれないか、キングスカラー」
言われた通り、レオナはマレウスのモノに触れると予想以上に反応していた。
「っオマエの好み……、最悪だな」
「いい好みの間違いだろう?」
擦り合いながら一回目の絶頂を迎えた二人は息を整える隙もないまま、交わった。
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