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第80話 腐っても鯛。
僕は執着することが殆どなかった。
妖精族は執着心と独占欲がとても強い種族だが、僕はあまりそういう欲はないほうだと自身でも思っていた。
それは僕が恵まれた地位にいるからか、欲しいモノは直ぐに手に入るのだから仕方がないといえばそれまでだろう。
だが、そんな僕の隣に数百年いたリリアが数年前から居ないことが増えていた。
リリアは息子のシルバーの側にいることが増え、僕の隣に並ぶものがいなくなった。
初めはそれに耐えきれず、僕は人の形を保つことが出来ずにドラゴン本来の姿で数日を過ごすことも稀ではなかった。
それが耐えきれるほどの執着心を他に移すまでは。
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