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第89話
「やっぱりオマエはここに来るんだな」
パーティーが終わったキングスカラーは誕生日の正装を緩めてから、ジャケットをその場で脱いでから落とした。
「誕生日おめでとう。プレゼントを用意できなかった僕だが、せめて祝いの言葉を伝えたかった。お前は疲れただろうから、僕はこれで帰ることにしよう」
僕がそう言うと、キングスカラーは僕の腕を取ってこう言った。
「本当に疲れたぜ。俺の誕生日なのになんでこんなに疲れなきゃなんねぇんだろうなぁ……」
「僕がいないほうが休まるだろう?」
「膝貸せよ。今日お前の膝は俺の枕だ」
「……は?」
「俺の誕生日プレゼントにオマエの膝寄こしやがれ」
キングスカラーは力づくで僕をベッドに引き釣り込むと、僕の膝の上に頭をのせて喉を鳴らした。
「きっキングスカラー?」
「うるせぇ。黙ってオマエは俺の枕になればいいんだよ……」
そして数秒で寝息が聞こえてきた。
どうやら今日一日僕はキングスカラーの枕になるのが役目らしい。
それを奴が望むのならば、僕は今日一日枕に膝を貸そう。
「キングスカラー、……誕生日おめでとう」
僕はキングスカラーの頬を撫でながら改めて祝の言葉を呟いた。
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